『Newton大図鑑シリーズ 細胞大図鑑』2021/2/28
牛木 辰男 (監修)
科学雑誌ニュートンが、私たちの体を作っている「細胞」を、図解で総合的に解説してくれる大型の細胞図鑑で、内容は以下の通りです。
Part1 細胞のしくみ
ヒトをつくる細胞/さまざまな細胞(真核生物・原核生物)/細胞の発見/細胞説/動物細胞/植物細胞/核/小胞体/ゴルジ体/細胞膜/ミトコンドリア/細胞質マトリックス/生命の誕生/熱水噴出孔/共通祖先/シアノバクテリア/細胞内共生説/生命活動と細胞/ネクローシス・アポトーシス/オートファジー
COLUMN 活性酸素
Part2 細胞分裂と遺伝
DNA・遺伝子・染色体/転写・翻訳/ゲノム/突然変異/DNAの傷/体細胞分裂/収縮環/紡錘体/減数分裂/レオポン/染色体の分配/テロメア/がん/がんの遺伝/がんの治療
COLUMN ハダカデバネズミ
Part3 体を構成する細胞
細胞の分化【/写真で見る人体の細胞】細胞小器官・コラーゲン・骨・筋肉・神経・皮膚・脂肪細胞・血球・リンパ節・脳下垂体・眼・耳・肺・胃・膵臓・小腸・肝臓・腎臓・精巣・卵巣
COLUMN DNAのメチル化/生物の進化
Part4 細胞とエネルギー
肥満/消化・吸収/白色脂肪細胞/肥満が招く病/褐色脂肪細胞/運動/サーチュイン
COLUMN カロリー
Part5 体を守る細胞
常在菌/腸内細菌/免疫システム/免疫細胞の分化/自然免疫・獲得免疫/抗体/拒絶反応
COLUMN 発酵食品
Part6 ES細胞・iPS細胞
生物の再生/幹細胞/ES細胞/初期化/クローンES細胞/iPS細胞/医療への応用
*
大型の図鑑ですが、大きなイラストで分かりやすく解説してもらえるので、どんどん読み進められました。細胞について、新しいことを知ったり、自分の知識を再整理したりできて、とても勉強になりました。そのごく一部を紹介すると、こんな感じです。
「動物の体の大きさも、ヒトと同じように細胞の数によって決まる。また同じ哺乳類であれば、基本的には細胞の大きさにちがいはない。」
「(植物細胞は、)動物細胞がもつ構造に加え、葉緑体・細胞壁・液胞をもつ。」
「外因によって細胞が死ぬことを「ネクローシス(壊死)」という。ネクローシスを起こす細胞は、細胞本体やミトコンドリアなどの細胞小器官が膨張し、その後に細胞膜が破れて中身がもれだす。
一方、細胞がみずから死を選ぶ場合もある。これを「アポトーシス」という。アポトーシスをおこした細胞は、細胞全体が縮んだり、核が変形・断片化したりする。さらに、細胞の中身が小さな袋に分かれ、やがて不要なものを掃除する「マクロファージ」という細胞に取りこまれる。
アポトーシスは、たとえば受精卵から成体へと成長する過程で見られる。オタマジャクシがカエルに成長する際、尻尾が消えていくのはアポトーシスによるものだ。」
「細胞内を掃除するシステムは、大きく分けて二つある。一つは、タンパク質専用の分解装置「プロテアソーム」を使うシステムだ。不要になったタンパク質にユビキチンという目印をつけ、目印がついたものだけをねらって掃除する。
それに対して、ほぼランダムに細胞内のものを食べてきれいにするのが「オートファジー」である。(中略)オートファジーの役割は、掃除だけではない。細胞が何らかの理由で外から栄養をとれないとき、自分自身を分解して、栄養物を自給自足する役割をもつと考えられているのだ。」
……などなど。
そして圧巻だったのが、さまざまな細胞小器官などの電子顕微鏡写真。ミトコンドリアやゴルジ体など、教科書でおなじみの細胞小器官を、高精細な写真で見ることが出来るのです! 血管内でラッシュアワーのようにひしめく血球は、本当に「びっしり」詰まっていて驚きでした。これは凄い☆
とても勉強になる『細胞大図鑑』でした。ぜひ読んでみてください。
* * *
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>