『ミステリーの書き方 (「シナリオ教室」シリーズ)』2021/2/26
柏田 道夫 (著)
ミステリーの分類や構造を教えてくれる『ミステリーの書き方』です。
ミステリーを書く技術も教えてもらえますが、文章術というよりは、ミステリーにはどんな種類があって、どんな構造になっているかについての解説の方が多かったように感じました。
ミステリーとは、「謎や秘密があって、それが物語を引っ張る構造の映画やドラマ、小説」を言うそうです。
そしてミステリーの手法や設定には、次の4種類があります。
1)倒叙ミステリー
2)安楽椅子探偵もの
3)密室もの
4)アリバイくずし
またその物語には、次の5つの型があるそうです。
1)ロードムービー型(旅もの)
2)グランドホテル型(空間限定もの)
3)バディ型(相棒もの)
4)サクセスストーリー
5)巻き込まれ型
そして例えば「基本型の本格推理もの」の展開は、次のようになるのだとか。
1)不可解な事件が起きる
2)これと関わる主人公(探偵役)登場
3)事件の詳細(散逸する手がかりを示す)
4)解明の障害・謎が立ち塞がる
5)解決の決定打
6)意外な犯人、真相が明らかになる
……確かに(苦笑)。「本格推理もの」って、だいたい、こんな流れになっていますね。
でも……みんながこのような展開で小説やシナリオを書くなかで、個性や魅力を発揮するのは大変ですね……。
いったいどうやって、「これは凄い!」と思ってもらえるミステリーを書けるんだろう……と思ってしまいましたが、そのために一番役に立つのは、もしかしたら本書の中でたくさん紹介してもらえる名作たちかもしれません。
例えば、冒険ミステリーの名作としては、次のような作品があげられていました。
アステリア・マクリーン『ナバロンの要塞』、トム・クランシー『いま、そこにある危機』、ステーヴィン・ハンター『極大射程』、キャビン・ライアン『深夜プラス1』、ジャック・ヒギンス『鷲は舞い降りた』、ルシアン・ネイハム『シャドー81』、A・J・クイネル『燃える男』、J・C・ポロック『樹海戦線』、北方健三『逃れの街』、船戸与一『山猫の夏』、志水辰夫『行ずりの街』、逢坂剛『カディスの赤い星』、佐々木譲『エトロフ発緊急電』、馳星周『不夜城』、福井晴敏『亡国のイージス』。
……うーん、半分以上は読んでいましたが、読んでいない作品もありますね……ちょっと古い作品(古典的名作)が多いような気もしますが……。でも、この中で読んだことのある作品は、確かにもの凄く面白い冒険ミステリーだったことは間違いありません。読んだことのないものは、これから読んでみようかな……。
この他にも、ジャンルごとに、これは絶対!というお勧め作品が多数紹介されていましたので、それらを読むことが、ミステリーの書き方を上達させてくれるかもしれません。……たとえ上達できなくても、とにかく凄く面白い本ばかりのようですよ☆
最後に、この本の中で、多くのミステリ作家が読んでいるという本を紹介させていただきます。
間羊太郎『ミステリ百科事典』
この本には、よく知られているトリックが網羅されているそうなので、二番煎じと指摘されないような斬新なトリックを考えるためには、必読だそうです。
『ミステリーの書き方』を教えてくれる本でした。ミステリーを書いてみたい方はもちろん、ミステリーが好きな方は、一度読んでみてください。
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