『専門医が教える 声が出にくくなったら読む本』2021/1/27
渡邊 雄介 (著)
声の使い方・加齢・ストレスなどが原因で、思うように声が出せなくなる「音声障害」の治療法や検査法を教えてくれる本です。
「話しはじめの声がでにくい」「あいさつなどの簡単な言葉もつまってしまう」「大きな声、高い声が出せない」「長く話すと声がかれる、疲れる」などの声のトラブルを感じている時には、次のようなことが起こっている可能性があるそうです。
1)炎症やポリープなどによって、左右の声帯が均等にぶつかり合っていない
2)下や唇で正しく共鳴させることができていない
3)息の吐き方に問題がある
そして、音声障害を治療するための検査には、次の6つがあるのだとか。
1)電子内視鏡検査1:咽頭ファイバースコープ検査
2)電子内視鏡検査2:咽頭ストロボスコープ検査
3)音響分析検査
4)空気力学検査
5)病理検査
6)言語聴覚士による検査
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老化による筋肉の衰えなどのために声のトラブルが起こることもありますが、不調の裏に大きな病気が隠れており、重症化してしまうるものもあるそうです。例えば、甲状腺がん、肺がん、食道がん、さらに胸部大動脈瘤や脳梗塞が原因のケースもあるのだとか。
不安な時には、のどの専門医に相談した方がいいかもしれません。のどの専門医を探すには、日本気管食道科学会のホームページの「専門医名簿」が役に立つそうです。
また、のどの不調を直すうえで、やめるべき習慣には次の9つがあるそうです。
1)タバコを吸う
2)過度な飲酒
3)咳払いをするクセ(咳払いでは左右の声帯が激しくぶつかり合う)
4)早口でしゃべる(のどが緊張する)
5)体の血のめぐりが悪い
6)甘いものや脂肪酸の多い食べ物を食べすぎる(胃酸によってのどに炎症が起こる)
7)しゃべりすぎる
8)口呼吸している
9)頻繁に裏声を使う
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また声の不調をラクにするトレーニングもいろいろ紹介されていて、その一例は次の通りです。
・「のー」の発声法
1)口を小さくすぼめて「のー」と自身が出せる音の最低音から最高音まで鼻にぬけるように発声します。このとき、途中で音が途切れないようにします。
2)同様に最高音から最低音へ
3)1)と2)それぞれ10回を1セットとして、1日2、3セット。(トレーニングの間を2~3時間あける)
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この他にも、ハミング法やチューブ発声法など、数種類のトレーニング法が紹介されていました。
実は、一度「歌が歌えない」状態になったことがあり、それ以来、「のど」の筋肉を鍛えるよう、毎日少しずつでも歌うよう心掛けています。歌えない状態になったときでも、話すことは普通にできていたので、そもそも歌えなくなっていることに気づかなかったのですが、歌えるように戻るまでには、数か月かかってしまいました。病院には行かず試行錯誤しながら治していったのですが、ハミングが効果的だったような気がします。ハミングを続けているうちに数分程度なら歌えるようになり、徐々に時間を延ばしていったという感じでした。この本のトレーニングにも「ハミング法」がありますが、私の個人的体験からも、効果が期待できると思います。
声が出にくくなったと不調を感じている方や、のどの健康を保ちたいというという方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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