『研究者が本気で建てた ゼロエネルギー住宅』2021/1/28
三浦秀一 (著)
無理せず健康で快適に暮らせるゼロエネルギーハウス(ZEH)の作り方について、建築とエネルギーの専門家が、自分の家を建てた実体験(2011年8月山形市)をもとに具体的にアドバイスしてくれる本です。
住宅のゼロエネルギー化とは、「再生可能エネルギーを自分で作り、年間のエネルギー収支をゼロとすること」だそうです。「エネルギーなしで快適な暮らし」っていうことでは、ないんですね……。
実は、「家そのものの断熱性能を上げれば、それほど暖房をしなくても家全体を暖かくすることが可能」なのだとか! 暖冷房に影響を与える建物の性能は、断熱性能と日射遮蔽、日射取得、通風だそうです。
ご自宅では、断熱材(グラスウール)を壁に22センチ、屋根に40センチ入れているそうで、窓は3枚ガラスなのだとか(ちなみに省エネ基準を満たした普通の住宅では、壁10センチ、屋根20センチのようです)。そして暖房は、太陽光と、木のエネルギー(薪やペレット)を活用していて、「高断熱住宅にしたことによって暖房のエネルギー需要は3分の1になった」そうです。……山形市はかなり寒そうなのに、素晴らしいですね!
建物を高断熱住宅にするだけでなく、簾やタープ(防水布)、外付けブラインドなどで日よけをすると、夏もエネルギーを節約ながら涼しく過ごせるようです。
リフォームで断熱性能をあげることも出来るようで、簡単で効果的なのは、次の2つ方法だとか。
1)窓に「内窓(今ある窓の内側にもうひとつ新しい窓を追加する)」をつける
2)天井の屋根裏に上がって断熱材を追加する(置くだけでもいいのでDIYも可能)
……なるほど。どちらも意外に簡単に出来そうですね。
ところで三浦さんは高断熱住宅で薪ストーブを使っているようで、換気は大丈夫なのかと心配になりますが、「第1種換気(熱交換換気)と組み合わせると、ゼロエネルギー住宅として理想的な組み合わせになる。」そうです。24時間換気しているようですが、高断熱住宅では、そもそもあまりストーブをつけなくても暖かいのだとか。
寒い地方に住んでいる人には、特に魅力的な「高断熱のゼロエネルギー住宅」のようですが、建築や設備の費用もそれなりにかかって、普通の住宅を建てるより少し高めになるようです(本書では三浦さんの家の費用が紹介されています)。でも光熱費をかなり節約できるので、ある程度の期間住めば十分回収できるようでもありました。電気等の使用量が少ないので、「災害に強い」のも魅力的ですね!
今後のあるべき住宅の姿(ZEH:ゼロ・エネルギー・ハウス)について、実体験をもとに具体的に教えてくれる本でした。ここで紹介した他にも、参考になる情報がたくさんありますので、家の新築やリフォームを検討中の方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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