『人生100年の家づくり』2020/11/14
建築知識 (編さん)

「住むだけで健康寿命が延びる」家づくりの秘訣を紹介してくれる本です。
 例えば、「暖かい家ほど健康になれる。高断熱化は健康住宅の必須条件。」だそうです。全室の温度差をなくす床下エアコンシステムなどが、ヒートショックのリスクを軽減して安定した温熱環境を作ってくれるのだとか。
 今の住宅が寒いと感じている方は、断熱改修を考えてみるべきなのかもしれません。この本には次のように書いてありました。
「コスト面から断熱改修をあきらめる人も多いようですが、断熱工事を行えば、心筋梗塞や脳卒中の発生リスクを軽減し、高齢期の医療費や介護費の節減につながります。」
 他にも「24時間換気と快適な温熱環境を両立できる熱交換換気システム(熱交換換気システムは、屋外から取り入れた空気に、室内排気の熱を移し替える換気方式だ。そのため、外気を直接室内に取り込む換気方式に比べて熱損失がとても少ない)」など、すぐに取り入れたくなるようなシステムも知ることが出来ました。
 またトイレについても、「ドアを引き戸にすると、介助者のスペースも確保しやすい」とか、「便器横に細い棚(下にトイレットペーパーなど)を設置すると、立ち座りの際の補助具になる。」とか具体的に役立ちそうな情報が。
 そして個人的に「こんなのがあるといいなー」と思ったのが、運動に関するもの。
「広々スロープ階段で暮らしに運動を取り込む」とか、「毎日必ず行き来する場所にぶらさがり棒やクライミングウォールなどを設けて、運動を積極的に取り入れやすくする」とかいうアイデアは健康長寿に役立ちそう……でも、ぶらさがり棒やクライミングウォールはすぐに使わなくなりそうだし、居間とキッチンの間に広い階段があって強制的に運動させられる家は……高齢化するにつれて辛くなっていくんだろうなー、と思うと……やっぱり、どうなんでしょうか(汗)。うーん……。
 ところで、家の中での事故は、実は居間での転倒事故が多いようです。事故が起きにくい住宅の例として、次のような記述がありました(本書では、間取り図を使って紹介されています)。
1)手すりを配置
2)収納棚は低く作り、脚立などを使わない設計に
3)LEDなど電球交換頻度の低い照明を設置する。分散照明や足元灯も設置。
4)寝室のコンセントはベッド周囲を中心に8個以上設置(介護に備えて)
5)入り口の開口部幅は広く確保(車いすに備えて)
 ……などなど。
 健康でいられる期間をできるだけ長くするために、快適な住環境をつくる色々な工夫を知ることが出来ました。この他にも、「食事」や「メンタル」などさまざまなアイデアも教えてもらえます(照明の色、騒音対策など)。ぜひ一度、読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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