『エレクトロニクスラボ ―ものの仕組みがわかる18の電子工作 (Make: KIDS)』2020/10/10
DK社 (著), 若林 健一 (翻訳)

 電気の力で動く18の楽しい作品を、実際に作りながらエレクトロニクスの基礎や機械構造を学ぶことができる本です。
 何気なくこの本を開いて、とても驚かされたのは、すべての作品が実際に部品で作られていく過程を、詳しく写真で見ることが出来るところ! 作品が作られていくのを、すぐ近くで見学しているみたいです。しかも動画ではなく、写真+解説で読めるので、自分のペースで進めることが出来るのです。
 安全に制作を行うためのポイントや、道具の基本的な使い方も、とても具体的に教えてもらえます。
 まず「安全に作業するために」で、「説明書を読む」、「やけど・ケガ・感電に気をつける」、「保護具を使う」、「ゴミを適切に捨てる」、「整理整頓する」などのことが写真つきで解説されます。
 続く「道具箱」では、クランプや粘着パテ、カッターナイフや定規、ドリルやペンチ、ハンダごてなどの道具の写真つき説明。
 さらに「部品(電源、コンデンサ、抵抗器、他)」、「基本となる技術(カッターナイフ、金のこ、グルーガン、ドリル、テスターの使い方、ハンダ付けの仕方、他)」、そして「電子回路(電流、電圧、抵抗、直列並列、回路図、他)」、「ブレッドボード(しくみ、他)」、さらに「トラブルシューティング(よくある問題と解決方法)」と続いていきます。
 ここまでの「基礎知識」部分は、すべて写真で具体的に説明されているので、電子工作初心者にとっては、とても参考になると思います。(ただし、かなり総合的に解説されているだけに、「概説」という感じになっていて、特に「電子回路」などは、まったくの初心者には少し分かりにくいかもしれません。)
 そしてこの後は、「コイン電池」、「バグボット」、「AMラジオ」、「へびロボット」、「電子オルガン」、「金属探知機」など18の電子工作の作り方になります。実際に作られていく状況が、写真とともに説明されているので、自分で作らなくても、かなり「作った気分」になれてしまいます(笑)。
 それぞれの作品の完成後には、「しくみをみてみよう」で、全体図や大事な部分の分解図つきで、仕組みについても簡単に解説してもらえます。とても良いのですが、「回路図」がないので、ここに「回路図」があると、もっとよく分かったのになーと思いつつ最後まで読んだら……ちゃんと、これらの作品の「回路図」と「回路図記号の説明」が、巻末にありました。さらに「用語集」も巻末にあります。
「エレクトロニクスの基礎や機械構造」を、本当に実践的に学べる素晴らしい本でした。電子回路などの簡単な知識を学校で学んだことのある初心者の方が、電子工作を始める時の参考書として最適なのではないかと思います。また、初心者の方に電子工作を教える立場の人にとっても、参考になることがたくさんあると思います。ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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