『雷 (極端気象シリ-ズ)』2020/7/2
小林文明 (著)
落雷現象について、雷の基礎知識を教えてくれるとともに、日本の最近の落雷事故事例から身の守り方を考察している本です。
本を開くと、最初の6ページが「雷のグラビア写真」! 美しくてダイナミックな超凄い雷写真ばかりで、とても見ごたえがありました☆
雷は、積乱雲がもたらす身近な気象現象のひとつで、次のような種類があるそうです。
1)界雷:寒冷前線など前線に伴う雷
2)渦雷:低気圧や台風に伴う雷
3)気団雷:気団内で発生する雷
4)熱雷:日射が原因となる雷
そして日本の雷は夏と冬で特徴が異なり、世界的にみても珍しいのだとか。日本周辺の落雷数は、 夏は本州から九州の内陸部や山岳域で落雷が集中(熱雷)、一方、冬は日本海側(特に北陸沿岸と東北沿岸)と太平洋上に集中しているのです。雷というと「夏」というイメージがありましたが、日本海側では、冬の雪雲から雷が起こることが多いようです。しかも冬の雷は、夏の雷よりも「エネルギーが大きめ」なようで、電化製品が壊れることもあるのだとか!
・冬の雷の特徴
1)間欠的な雷活動(一発雷)
2)正極性落雷
3)上向き放電
4)水平放電路(雲底が低いことにより、放電路の角度が鉛直からずれるようになりやすい)
5)多地点同時雷撃
6)長い放電継続時間
7)大エネルギー雷撃
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冬の雷……なめてはいけないようです……。
そして私たちにとって、一番気になるのが「雷からの身の守り方」。次の5つのポイントが説明されていました。
1)早めに構造物や車の中に退避する(ただし室内や車内でも金属に触れないなど注意が必要)。万が一周囲に構造物がない場合は、最後の手段「雷しゃがみ」で雷雲の通過を待つ。
※「雷しゃがみ」両足を揃えて膝を十分に折り、しゃがんで身をかがめる。両親指で耳の穴を塞ぎ、残りの指で頭を抱える。
2)海や山のレジャー、お祭りや野外コンサートなどのイベント時は要注意!
3)こまめに気象情報のチェック
4)行動や行事の再開は「30分ルール」を守る(雷鳴後30分経って次の雷鳴が聞こえないことを目安に)
5)万一雷撃を受けた場合は、直ちに心臓マッサージを行う。
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「雷」について、みっちり学ぶことができる本でした。「積乱雲からのスプライト(雲頂から上向きに放電が起こる現象)」など、最新の雷像も教えてもらえます。気象現象に興味のある方は、一度読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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