『地震に負けない地盤がわかる本 (エクスナレッジムック 建築知識)』2012/6/28

 液状化から地盤調査、補修工事まで、地盤トラブル対策に関して解説してくれる本です。
 圧巻だったのが「Part1 写真とデータで振り返る東日本大震災の地盤被害」。東日本大震災で起こった実際の災害(建物被害、液状化被害)状況の写真を多数見ることが出来るので、その被害の凄まじさを痛感させられました。……やっぱり地震はすごく怖い。
 それでも写真の解説の中に、「液状化で地中のタテ管が浮き上がり、破断した住宅の設備配管。地盤改良・杭基礎とした建物自体には目につく被害は見受けられなかった」とか、「砕石パイルが効果を発揮した」など「地盤改良」工事を行っていたために、被害を軽減できた事例も見ることが出来て、少し安心させられました。
 続く「Part2 Q&Aで一発回答! 地震に負けない地盤がわかる!」は、Q&A形式で、地盤や改良工事について解説してくれます。(もちろん記事にはもっと詳細な解説があります)
Q01 液状化は住宅にどんな被害をもたらすのか?
1)不同沈下
2)設備配管の破損
3)側方流動による杭基礎の破損
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Q02 地盤の液状化危険度を調べる方法は?
(都道府県ウェブサイト)「液状化危険度マップ」
(国土地理院ウェブサイトなど)「土地条件図」「治水地形分類図」「地形図」
(役所の建築指導課など)「ボーリング柱状図」

 また、コラムも充実しています。例えば「日本の主な地盤と想定される災害」には次のような表が掲載されていました。
※日本の主な地盤と想定される災害
1)岩盤
(想定される災害)スレーキング・膨張・崖崩れ・地すべり
(対応策)地盤改良
2)洪積層
2-1)ローム層
(想定される災害)一部地盤沈下
(対応策)地盤改良
2-2)礫層・砂層
(想定される災害)問題は少ない
3)沖積層
3-1)腐植土層(ピート層)・粘土層
(想定される災害)地盤沈下
(対応策)地盤改良
3-2)砂層
(想定される災害)液状化
(対応策)地盤改良・地下水位低下工
3-3)礫層
(想定される災害)一部液状化
(対応策)地下水位低下工
4)人工地盤
4-1)埋立地
(想定される災害)地盤沈下・液状化・津波
(対応策)地盤改良など
4-2)盛土(平地)
(想定される災害)地盤沈下・液状化
(対応策)地盤改良など
4-3)盛土(丘陵地)
(想定される災害)地すべり
(対応策)地下枠排除工・抑止工
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 ……残念ながら日本では、問題が少ない地盤は、「洪積層」の「礫層・砂層」だけのようです……。
 この他にも「沈下修正工事」とか「土石流の原因と対策」など、参考になる情報が多数掲載されていました。新居の購入予定のある方や、自分の住んでいる場所の地盤に不安のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 別の作家の本ですが、『役立つ!!地盤リスクの知識―自然災害に負けない地盤がわかる本』など、地盤について学べる本は他にも多数あります。
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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