『最強の声と体を手に入れる! マッスルボイトレ』2018/11/24
東 哲一郎 (著)

 声を鍛えれば肉体も強くなり、肉体が強くなれば声も良くなる……説得力のある声や包容力のある声、声も操れる喉、そして引き締まった疲れにくい肉体を作り上げる44のトレーニングを教えてくれる本です。
「マッスルボイトレ」とは、マイケル・ジャクソンのツアーメンバーとレコーディングをした東さんが、その経験をもとに日本人向けに構築したボイストレーニング理論「スポーツボイス」だそうです。ビートに合わせて筋トレを織り交ぜた発声をすることで、密度と回数を両立させたトレーニングを無理なく行えて、以下の3つの特徴があるそうです。
1)声が変わる
出したい声を無理なく出すために、息の量をコントロールする筋肉、声帯の張りをチューニングする筋肉を鍛えます。
2)内側から体が変わる
マッスルボイトレはボイストレーニングでありながら、筋力トレーニングでもあり、体の機能からシルエットまで改善されます。
3)自己肯定感が高まる
トレーニングをして声や体が変わると、自分に自信が持てるようになり、周りに与える印象も変化し社交性も高まります。
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 声が良くなるだけでなく身体も健康になれるなんて最高じゃないかー、と早速手に取ってみましたが、写真でも分かるように、かなり濃い個性的な表紙で、一瞬ひるんでしまいました(汗)。でもやっぱり「良い声+健康」の魅力には勝てず、また中身の方もそれなりに見えたので、購入することに。
 実を言うと、かなり昔、超多忙で精神的にも辛かった時に、一度「歌えなくなった」ことがあったのです。忙しさが一段落したときに、食器を洗いながら何気なく歌おうとして……なんと、声が出ない! 普通に会話することは出来ていたので、なぜ歌うことが出来ないのかが分からなくて、本当に驚いてしまいました。
 それから少しずつ歌うように心がけ、ちゃんと一曲歌えるようになるまでには数か月かかったような気がします。それ以来、時々意識的に「歌う」ようにして、声帯の維持(老化防止)に努めています。
 今まで、きちんとしたボイストレーニングを受けたことはありませんが、歌うことは大好きだし、健康のためのエクササイズも定期的に続けていますが、これはその両方が一気に出来るトレーニングのようです。

 でもなー……「ボイストレーニング」っていうと、やっぱり大きな声を出すものだろうし、もしかしたら近所迷惑かも……と思ってしまいしたが(汗)、実際には、「大声を出さないでトレーニングする」ものが多かったのでホッとしました。「音楽(リズム)に合わせて、呼吸を意識しながら運動する」のが「マッスルボイトレ」のようです。
「本書のトレーニングでは、BPM120前後の音楽を聞きながら行います。ビートに合わせて運動、呼吸または発生するのがマッスルボイトレで効果を出す秘訣です。」(注:BPM=一分間の拍数のことで、音楽のテンポ、速さを表す数値。)
 トレーニング時間の目安は、平日は5~30分、休日は60分というもののようですが、まずは「5分で実感毎日エクササイズ」から始めようと思っています。
 なかでも「リバースボイス」という「息を吸いながら発声して、声帯のストレッチをする」トレーニングは、呼吸器系が鍛えられるそうなので、趣味の管楽器のための練習にもなりそう。
 でも……出来れば「画面を見ながら一緒にやれる」DVDがついていると、なお良かったのになーと思ってしまいました。「BPM120前後の音楽」と一緒にやることが推奨されているのに、トレーニングで実際に使われている曲を聞くためには、本の中に書いてあるサイトにアクセスして視聴する必要があるんですよね……それとトレーニングに使う「HE!」という発声の長さがどれぐらいなのかも分かりにくいのです……まあ当面はBPM120にこだわらず、テキトーに自分のペースで続けてみようと思っています(汗)。「HE!」も近所迷惑にならない程度の音量と長さにとどめて……。
 ところで「声帯を鍛える」ことには、「いい声」にする以外にも効果があるようです。この本には、次のような記述がありました。
「声帯が果たすもっとも大事な役割は、一体なんでしょうか? 声を出すことだと思っていませんか? そうではありません。実は、肺の中にゴミが入らないようにすることなのです。そのため、声帯の柔軟性を高め、運動神経を上げることは、誤嚥性肺炎の予防につながるのです。」
 なるほど「誤嚥性肺炎の予防」ですか……「歌えなく」なっていたときは、実は私の声帯がいつの間にか老化していて、下手すると「誤嚥性肺炎」につながっていたのかも……早めに気づいて良かった……。
「良い声+健康」のためのトレーニング法を教えてくれる本です。声帯のアンチエイジングが気になる方は、ぜひ読んでみてください。
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