『NHKスペシャル 人体 神秘の巨大ネットワーク 第3巻:【第4集】万病撃退! “腸”が免疫の鍵だった/【第5集】“脳”すごいぞ! ひらめきと記憶の正体』2018/6/13
NHKスペシャル「人体」取材班 (編集)

 NHKの番組「人体~神秘の巨大ネットワーク」書籍版第3巻です。「第4集 万病撃退! “腸”が免疫の鍵だった」と、「第5集 “脳”すごいぞ! ひらめきと記憶の正体」が収録されています。
 花粉症に食物アレルギー……現代人に広がる悩ましいアレルギーを根本解決するカギが、腸と無数の腸内細菌との間で交わされる「会話」にあることがわかってきたことや、コンピューターには真似できない「ひらめき」を生む人間の脳のネットワークの全容がついに解明され始めてきたことなど、興味津々の内容が満載です☆
 まず「第4集 万病撃退! “腸”が免疫の鍵だった」では、腸が私たちの健康にとって重要な働きを独自に行っていることが明かされます。実は腸は、「第二の脳」なのだとか!
「腸にはおよそ1憶個もの神経細胞があるといわれており、その数が脳に次いで多いことから「第二の脳」とも呼ばれている。最新技術により高精細な画像が得られる顕微鏡で観察すると、腸の管の周りは数多くの神経細胞が網の目のように取り巻いている。腸はこの神経細胞の働きによって、食べ物を消化吸収するという複雑な動きを、独自に行うことができるのだ。
また、腸の内部には膨大な数の腸内細菌が住み着いて生態系をつくっている。その腸内細菌たちが群れ集うさまを花畑(フローラ)になぞらえて「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼び、近年は腸内フローラがもたらす健康効果に大きな注目が寄せられている。このような自分の身体の一部ではない細菌たちまで腸はコントロールしているのだ。」
 腸は免疫力を司っていて、「外敵の発見」、「外敵の情報の伝達」、「外敵への攻撃」だけでなく、「免疫細胞の訓練」、さらには「免疫細胞の暴走を止める」ことまでしているのだとか。地味な臓器だと思っていましたが……実は物凄い奴だったんですね!
そんな腸の免疫力を向上させるのに役に立つのは、食物繊維なのだとか。これからは積極的に食物繊維をとるよう心掛けたいと思います。
 そして「第5集 “脳”すごいぞ! ひらめきと記憶の正体」では、脳に広がる神経細胞のネットワークも、メッセージ物質で動いていることが紹介されます。
「1つの神経細胞の中では、情報は電気信号によって伝えられている。電気信号といっても機械の中を流れているような「電流」ではなく、「イオン」という電荷を帯びた粒子の流れだ。」
「電気信号がシナプスに到達すると、小さな粒のような物質(メッセージ物質)が大量に放出される」
「放出されるメッセージ物質は、例えば「電気を発生させて」というもの。」
「メッセージ物質による神経細胞間の情報の受け渡しにかかる時間は、およそ1万分の1秒。脳では数十個~100個ものメッセージ物質を用いることで、電気信号の伝わり方に豊富なバリエーションを生み出している。」
 ……脳も化学物質で動いているんですね。
 そして、すごく参考になったのが、運動や食事は「記憶力アップ」にもつながっているということ!
「運動をしたときに筋肉の細胞から出る「カテプシンB」というメッセージ物質は、脳に届くことによって歯状回で新しく生まれる神経細胞を増やす働きがあると考えられている。つまり、カテプシンBは脳に「記憶力をアップせよ!」というメッセージを伝えている可能性があるのだ。」
「食事をしたときにすい臓から出される「インスリン」も「記憶力をアップせよ!」というメッセージを脳に伝えているという。」
 ……インスリンには、血糖値を下げる以外の機能もあったんですね。
「記憶を生み出す歯状回の細胞が、体からのメッセージ物質によって新しく生まれ、成長を促されるとは、まさに人体ネットワークの驚異といえるだろう。脳は、体全体と密接に結びついていて初めてうまく機能する臓器なのだ。バランスのとれた食生活を心掛けることですい臓を健康に保つ。そして体を動かして筋肉を鍛える。こうした一見、脳とは関係がなさそうな生活上の心掛けや活動こそが、記憶力アップの秘訣なのかもしれない。」
 健康のために普段から心掛けていた運動と食事は、脳(記憶力)にも良い影響があることを再確認できて嬉しくなりました。これからも頑張ろうっと☆
 最近、大注目されている「腸」と「脳」に関する最新知識を分かりやすく学べる本でした。ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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