『水草の疑問50 (みんなが知りたいシリーズ10)』2018/10/26
水草保全ネットワーク (著), 田中法生 (監修)

 水の中で暮らせるように進化した植物・水草について、すごく詳しく教えてくれる本です。
 たまたまこの本を見かけた時に思ったことは、「水草って、何だっけ? ハスとか?」ぐらいで、あまり期待せずに手に取ってみました(汗)。
 ところが最初の疑問「Question1 水草ってどんな生き物ですか?」に対する答えに、いきなり仰天させられることに。
「水草を定義すると、「陸上から水中へ逆戻りの進化をした植物で、一定期間葉や茎の一部が水中にあるか、または水面に浮いている植物」となります。」
 実は、「水草は植物界のクジラ」と言われていて、いったん陸上へと進出した植物の一部が、ふたたび逆戻りしたものなのだとか! へえー、そうだったんだ……と、がぜん興味津々に。
 水草にはハスやスイレンだけでなく、カキツバタやバイカモ、アマモなども含まれ、広い意味ではイネ(稲)も水草なのだそうです。
 そして「Question3 陸上の植物は水中で生きていけませんか?」、「Question4 水草は水の中で生きるためにどんな特殊能力を持っているの?」を見て、「水草はなぜ水の中で窒息しないのか」という疑問にようやく気づき(汗)、確かに……水草って、光合成してるの? 受粉はどうしてるの? とさまざまな疑問が頭の中に渦巻くことに(笑)。
 水草は、「水中から陸上の狭間」で生きている植物で、様々な生活形があるそうです。半分だけ水上(抽水植物)、全体が水に浮かぶ(浮遊植物)、葉や花だけ浮く(浮葉植物)、体全体が水中(沈水植物)。このうち沈水植物は、葉の表皮細胞からダイレクトに、水中に溶け込んだ二酸化炭素や養分を吸収できるようになっているそうです(光合成できる)。しかも根に必要な酸素を空気中から得ることが出来ないので、光合成産物として獲得した酸素を体内の空隙に一時的に蓄えた後、根まで運んで利用する他、体全体の表皮細胞を通して水中から酸素を取り込み、呼吸に利用するのだとか! すごく効率的なシステムを持っているんですね! でも、なぜそこまでして水中に戻ったのでしょうか……すごく謎めいていますね(笑)。なお受粉としては、虫を使うものや水の流れを使うものがあるようです。
 また「海草」と「海藻」は、まったく違うものだそうです。ワカメやコンブなどの「海藻」は、「植物の誕生以来ずっと水中で生活している」藻類で水草ではなく、「海草」の方は「一度陸上に進化してから再び水中(海中)へ逆戻りしたもの(水草)」で、アマモなどがあるそうです。アマモには、細胞内からナトリウムイオンを排出できるポンプがあるので、海中でも生きられるのだとか。
 何の気なしに手に取った本ですが、よく知らなかった「水草」に、こんなにも驚異的な資質があったことを教えられて、とても興味深く読めました。「本」って本当に素敵なものですね!
 この本には、冒頭にフルカラーページもあり、水草の写真だけでなく、野外で水草を観察するコツや、観察するときの注意点(服装)など、参考になる情報が満載です☆ アウトドアが好きな方は、水草の観察も野外活動の楽しみに加えてみてはいかがでしょうか? ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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