『英国王立園芸協会とたのしむ 植物のふしぎ』2018/1/15
ガイ・バーター (著), 北綾子 (翻訳)
虫と植物の関係、タネと花、地中に暮らすミミズ、めぐる季節と天気……英国王立園芸協会の庭師が、130の問いと答えを通して植物たちの姿をそっと教えてくれる本です。
ガーデニングに凝っているわけではありませんが、花や野菜を庭で育てたことはあります。袋に「撒き時」と書いてある時季に植物のタネを植えると、すぐに芽(小さな葉)が出てきて嬉しくなっていたのですが、この本によると、最初の芽はすぐに出てくるもののようです。
「タネとはちっちゃな植物を詰め込んだ箱のようなもので、タネのなかには根と茎と小さな葉が1~2枚、それから植物が自分で光合成できるように育つまでのあいだの栄養素が入っている。」のだとか。ふーん、そうか……植物を育てるのが上手だからじゃなかったんだ……。
また、ハーブの香りを引きだす育て方は、「ハーブは甘やかして育ててはいけない。あまり養分のない土に植え、水やりも控えめにして、厳しい環境で育てるほうがいい。日に当たると香りと風味が増すので、温室ではなく屋外で栽培するほうが適している。」のだそうです。
そして、水やりの極意としては、「毎日少量やるよりも一度にたっぷりとやって回数を減らす方がいい。25㎜の雨と同じ量を10日から2週間おきに撒くといい。」……花や野菜をきちんと育てるためには、毎朝水を撒くべきなのかと勘違いしてました(汗)。こんな感じで、ガーデニングの参考になる話がいっぱいあります。
この本には植物の話題だけでなく、ミミズやカエルなど庭で見かける生物に関しての話もあります。驚かされたのが、「自分を冷凍させるカエル」の話。
「カナダアカガエルは真冬になると完全に凍っていて呼吸もしていないし心臓の鼓動も感じられないが、春になると溶けて奇跡のように生き返る。」
カナダアカガエルの細胞壁には弾力があって、水か凍って膨らんでも耐えられる余裕があることに加えて、体内の奥深くにある主要な器官の細胞はブドウ糖をたくさん含んでいるので、まったく凍らないのだとか! うわあああ、そんなやつがこの世にいたんだ。怖いような面白いような……。
ところで、この本には何度か「日本のイタドリ(外来種)」がイギリスで猛威をふるっているという話題があって肩身が狭かったのですが、最後に「日本からやってきて、イギリス一の嫌われ者になったイタドリ。(中略)天敵がいなかったので好き放題に繁殖してきたが、数年後、日本から天敵の害虫がもたらされると、抵抗力がなくなっていたイタドリはあっさり負けてしまった。」という記述にほっと一安心(笑)。今後は、「日本産の天敵の害虫」が悪さをしないといいのですが……。
ハードカバーの格調高い感じの「英国王立園芸協会」の庭師の本です。とても美しいイラストやカラー図版で、興味深い話題がQA形式でたくさん掲載されていました。植物が好きな方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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