『折り紙の科学 (おもしろサイエンス)』2019/3/27
萩原 一郎 (著), 奈良 知惠 (著)
折り紙の歴史から数理的視点における折り紙、産業分野での応用まで、折り紙について幅広く総合的に解説してくれる本です。内容は以下の通りです。
第1章 折り紙の姿(折り紙の誕生、近代折り紙 他)
第2章 折紙工学という学問(日本発の折紙工学、ハニカムコアの発明 他)
第3章 折り紙を科学する(折り紙の基本折りと基本形の応用、芸術性の高い作品に使われる「ねじり折り」他)
第4章 折り紙と産業化(折り紙の産業化を阻む4つの課題、展開と収縮に優れる「ミウラ折り」 他)
第5章 折り紙の力(身のまわりにある建築産業への応用(期待される医療機器や肺の呼吸モデルへの応用 他)
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たった1枚の紙を折り畳むことで、さまざまな表現ができる折り紙。子どもの頃に折り鶴や兜などを折ったことがある方は多いのではないでしょうか。その一方で、折り紙作品の本を読むと、ものすごく複雑で精巧な作品をたくさん見ることができて、こんなのって、どうやって作るの? と驚かされることもあります。シンプルな楽しい玩具から、芸術性の高い作品まで作れる折り紙は、いまや宇宙で活躍する巨大なソーラーセイルにまで発展し、産業分野でも大活躍しています。
この本は、『折り紙の科学』というタイトル通りに、「数理的な視点からの折り紙」「折り紙の設計図」や「設計ソフト」、さらには金属製の折り紙、産業での活用など、普通の「折り紙作品」を紹介するような折り紙の本とは、一味違う視点、テーマでまとめられています。数学、工学的な話題も含まれているので、ちょっと難しいと感じる記事もありました(汗)。例えば、宇宙で活躍するソーラーセイルに使われている「展開と収縮にすぐれるミウラ折り」については、折り方の写真での説明はあるのですが、展開図写真が小さすぎて、折り線がよく見えず、なぜ折ったものをいったん広げて、折り直す必要があるのかが、よく分かりませんでした(汗、汗)。
それでも『折り紙の科学』全般を、最新の情報まで含めて総合的に解説してくれるので、すごく参考になりました。
また「第3章 折り紙を科学する」には、折り紙の基本折りと基本形の応用、芸術性の高い作品に使われる「ねじり折り」などが、展開図や完成写真付きで説明されているので、誰かに「折り紙」のことを説明するときにも、とても役に立ちそうです(ただし「折り紙作品の折り方紹介」の本ではないので、作品の折り方紹介などはほとんどありません)。
その他にも、「折り紙を折るロボット」とか、「自己折りロボット」とか興味深い話題が満載☆ ちなみに「自己折りロボット」とは、宇宙空間や体内などで動くことを期待されるもので、事例としては、「誤飲したものを体内から取り除くロボット」に関する研究などがあり、このロボットは「乾燥状態だと約1センチ四方の紙片のようですが、水分を含むと折り畳まれていた部分が開きます」というものだそうです。
子どもの頃から慣れ親しんだ「折り紙」には、無限の可能性があるのだなーと、わくわくさせられる本でした。なんと建築や自動車産業での応用例まであります。
折り紙や工作が好きな方は、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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