『高橋宣行の発想ノート』2012/6/21
高橋 宣行 (著)
元博報堂制作部長の高橋さんが教えてくれる「考える」「アイデアを生む」ための原点。考える力のつけ方、アイデアの生み方、独創性の作り方について、クリエイティブの世界で、高橋さんが体で学んできたことを60項目にまとめて紹介してくれます。
「創造」とは、それまでなかったものを初めてつくり出すこと。自分の考えや技術などによって、人が何か新しいものを生み出す行為で、「想像力(異質な情報を組み合わせ、新しい世界観や夢やロマンあるストーリーを描く力。頭の中にイメージや絵を描くこと)」と、「創造力(今までにない新しい価値あるものを作り出す力。頭の中のイメージを、具体的なカタチに定着させること)」の二つを駆使して行うものだそうです。
そして高橋さんの「プランニング・スタイル」は、次のような流れになるのだとか。
1)集める(テーマ関連の情報を収集)
2)書く(群れをつくりながら絵を描く気分で)
3)眺める(関係性を探るため遠くから眺める)
4)組み合わせる(仮説を立てながら新しい関係性を発見)
5)発酵させる
6)閃く
7)まとめる(具体的に仕組みをつくる。戦略化)
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このような箇条書きスタイルを使って、「創造性を発揮するための」方法論を分かりやすく教えてくれるので、特に新入社員の方には、とても参考になるのではないかと思います。
その一方で、全体的に「創造力向上」をテーマにした他の本と同じような内容でもあるので、すでに同じような本を何冊も読んでいる方には、ちょっと既視感があるかもしれません。また、創造的になるための60項目の中には、いくつか重複している内容があり、項目数はもっと絞れたような気がします。「大事なことだから何回も繰り返しました」ということなのかもしれませんが、同じ内容になる部分はまとめてしまって、事例部分を増やした方が、より参考になったのではないか、とも感じてしまいました(汗)。それでも「初心にかえる」という意味で、ベテランの方にも役に立つと思います。
個人的には、「創造には正解はないが、ベストはある」という次の記述が心に残りました。
「有能な人ほど試行錯誤します。頭の中の情報をバラす、ちらす、飛ばす、そして集約する。それを繰り返しては、違う組み合わせを考えています。唯一ではないが最善の答えを求めるのです。そうしなければベストは発見できません。」
……正解はないがベストはある……本当にそうですよね。「創造」的な仕事を行ったときには、いつも「もっと上手くできたのかも……」と、もやもやした気持ちになることがあり、「期限」がない限り、終わらせることに躊躇してしまうことがありますが、その時点で、「ベスト」を尽くしたと思えるのなら、それでいいのだと励まされるような気がしました。
「創造」的な仕事の基本を教えて(再確認させて)くれる本でした。新人ビジネスマンの方や、最近、頭が固くなってきて新しいことを思いつかなくなってきたと悩んでいるベテラン・ビジネスマンの方は、ぜひ読んでみてください。
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