『ヘルプサイトの作り方 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ) 』2019/2/16
仲田 尚央 (著), 山本 絵理 (著)
ユーザーが知りたい情報を得ることができ、ストレスを感じずに参照できるWeb版のヘルプサイトの作成方法を解説してくれる本です。
実際にサイボウズでヘルプサイトを運用している著者の仲田さんたちが、そのチームのノウハウを凝縮して書いてくれているので、この本の中に、本当に実践的に参考になる情報をたくさん見つけることが出来ました。
文章を書くのに不慣れな人でも、ヘルプサイトを書くことは出来るそうです。
「(前略)ヘルプの文章を書くのに文才がいるわけではありません。ユーザーがヘルプに不満を抱く原因は、探している情報が見つからないこと、逆に情報が多すぎて読むストレスが大きいこと、使われている言葉の意味がわからないことなどに依る場合がほとんどです。そのため、「誰に何を伝えるか」「情報をどう探させるか」という設計をしっかり行うことが重要であり、多少の文法の間違いは問題になりません。」
……まさしく、その通りだと思います!
「第3章:ユーザーの使い方を意識して構成を設計する」にも、次のような項目(記述)がありました。
「ユーザーはページを流し読みする」
……本当に、これです! 私自身の経験でも、ヘルプサイトを利用するときって、すごく急いでいます。何か作業をしようとして、エラーになってしまったために、慌てて「ヘルプ」を見るのです。本来やるべき作業を早く再開したいので、ヘルプをじっくり見ようなどという精神状態にはありません。
「ユーザーはページを流し読みする」という項目の中では、「トリガーワードを強く意識せよ」と書いてありました。確かに、ユーザーが知りたいのは「トリガーワード」。自分の知りたい情報だけを素早く知って、さっさとトラブルから脱出したいのです。だから、「ページタイトル、カテゴリー名、リンクの名前などには、トリガーワードを含めるようにします」というアドバイスは、すごく参考になりました。
この本には、ヘルプサイトを作る上で参考になる情報が、総合的に掲載されています。
「ヘルプを制作する流れ」の概要は、次のようになるそうです。
・誰に何を伝えるかを整理する
・構成を設計する
・スタイルガイドや用語集を準備する
・記事を作る
・記事をチェックする
・公開後にフィードバックをもとに改善する
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これらの作業ごとに、詳しい解説があります。特に「第6章:記事を作る――文章と図解のテクニック」は、実際にヘルプサイトを作る時に、とても参考になるのではないかと思います。
個人的には、トラブル時に「問い合わせ窓口」にすぐにメールや電話をするよりも、まずは「ヘルプサイト」で自己解決を試みることが多いので、「ヘルプサイト」が充実していないと、すごく失望してしまいます。また企業にとっても、ユーザーが「ヘルプサイト」の参照だけで問題解決してくれた方が、従業員の負担も減るので望ましいのではないかと思います。いろいろな意味で、よりよい「ヘルプサイト」を作ることは、重要なのではないでしょうか。
「ヘルプサイト」を作る上で、とても参考になる本でした。ネット関連の仕事をしている方は、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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