『自衛隊防災BOOK』2018/8/9
マガジンハウス (編集), 自衛隊/防衛省協力 (その他)

 地震、台風、大雨、崖崩れ……いつどこで起こるかわからない、さまざまな大災害の時に頼りになるのが自衛隊。人命救助、食料の確保や給水、緊急措置など、災害時のトラブルに対処するさまざまなテクニックやアイデアを持つ、危機管理のプロフェッショナルです。この本は、そんな自衛隊のノウハウを、一般の人向けに分かりやすく具体的に紹介してくれます。
 まず冒頭にあったのが「日頃の備え」。防災意識は高い方だと思っていましたが……まだまだ甘いことを痛感させられました(汗)。
 日頃の備えとして、まず「家具の配置」を見直すべきだそうです。
「胸よりも高い位置にはなるべく置かない(低い家具を選ぶ)。本棚は入口から遠くへ置く(入口を妨げないレイアウトがポイント)」なのだとか。
 また「自宅の周りの避難所を知っておく」、「外出先では非常口・非常階段の位置を把握する」。これらは実際に歩いて確認(昼間のうちに非常階段を降りておくなど)することを勧めています。旅行する時、ホテルではドアに非常口が表示されているので、なるべくそれを確認するようにしてはいましたが……いつも利用しているスーパーマーケットとかの非常口って、どこだっけ?(汗)……なお、自衛隊には年に1回、自宅から勤務先まで歩く訓練があるそうです。
「1章 災害時に役立つライフハック“発災時編”」では、実際に災害に遭遇してしまった時には、まずは「上」を見て、次に「出口」へ向かうように進めるなど、災害時の行動について具体的に教えてもらえます。最初に「上」を見るべきなのは、落下物から身を守るためで、次に「出口」なのは、揺れがおさまってから動き始めた方が、転倒などの危険を避けられて安全だからなのだとか。
 また「2章 災害時に役立つライフハック“被災時編”」でも、「シャツの中に空気を入れて、シャツを浮き輪代わりにする(ズボンやペットボトルでも可)」などの具体的行動をいろいろ紹介してもらえます。
 個人的に参考になったのは、「3章 日常生活に役立つライフハック」の中の「ストップウォッチなしで正確な時間を測る方法」。数を数える時には、「1、2、3……」ではなく、数字の前に「100」をつけて「101、102、103……」と数えると、より正確になるのだそうです。これ、毎日のエクササイズで使えそう! 背伸びをして10秒キープなどのエクササイズの時に、10数えるだけだと短くなりがちなので、適当に15ぐらいカウントしていましたが、これからは、「101からカウント」しようと思います。
 その他にも「ツナ缶詰をストックしておくと食料としてだけでなく、ローソク代わりにも使える」とか、「低山で迷った時は、山頂を目指せ」など役に立ちそうなノウハウが多数あります。
 これらの自衛隊防災ノウハウは、ぜひ子どもたちにも身につけておいて欲しいなと思ってしまいました。最近の子どもたちは、アウトドアというよりはインドアで遊ぶことが多いようで、野性的な「生きる力」が衰えているのではないかと心配なので、中学生ぐらいの時に、自衛隊の方から防災時に使えるノウハウを学べる機会があるといいのではないでしょうか。もちろん大人も学べる機会があると、嬉しいと思います。
 この本は、『自衛隊防災BOOK』というタイトルですが、特殊なサバイバル術を教えてくれるわけではなく、防災に遭遇してしまったときに一般の人が出来る対応法がほとんどなので、実践しやすくて参考になると思います。文字が大きく、イラストや写真も多用されていて、とても読みやすいので、ぜひ家族みんなで読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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