『〈折り〉の設計 – ファッション、建築、デザインのためのプリーツテクニック』2018/3/16
ポール・ジャクソン (著), 牧尾晴喜 (翻訳)

 30年以上にわたり世界中のデザイナーや学生にプリーツ技術を教えてきた「折り」のスペシャリストのジャクソンさんが、そのノウハウを詰め込んだ集大成です。内容の概要は次の通りです。
1 紙を分割する
(「紙を分割」することはプリーツ作りの要)
2 基本のプリーツ
(基本的なプリーツパターンの特徴と用途について説明)
3 ねじりプリーツ
(プリーツをねじる方法を紹介)
4 V字プリーツ
(V字型に折るプリーツの紹介)
5 グリッドに取り組む
(V字プリーツを多く使用するグリッド)
6 十字に交差するプリーツ
(技術に関する最後の章。複雑な面や立体を作るための複数の方法を紹介)
7 布を使ったプリーツの作り方
(生地にプリーツを定着させる方法や、生地を縫ってプリーツを作る方法などを紹介)

 特に参考になるのが、「2 基本のプリーツ」だと思います。この本では、基本のプリーツとして、「アコーディオンプリーツ」、「ナイフプリーツ」、「ボックスプリーツ」、「直立プリーツ」、「非平行の直線プリーツ」、「曲線のプリーツ」、「カットプリーツ」の7種類について、基本の例やイラスト・写真を活用した折り方説明、見本写真、バリエーションなどを説明してもらえます。
 どれもシンプルながら美しい作品で、すごく折ってみたくなりました。実際に折ってみると面倒くさいのかもしれませんが、同じパターンの連続という感じのシンプルな折り方なのに、抽象的で都会的な洗練した美しさを感じさせてくれる作品ばかりなので、眺めているうちに作ってみたくなって、うずうずしてきます(笑)。
 紙の作品ばかりではなく、布で作った衣装や、家具や建築への応用例などの素敵な作品もたくさんあって……プリーツって、こんなにもイケてたんですね……(ため息)。
 ところで、この本は、このサイトでも紹介しているジャクソンさんの過去の著作『デザイナーのための折りのテクニック 平面から立体へ』とかなり重複している部分があります。この本の「はじめに」によると、前著よりも「より正確な技術的説明を与え、再分類した」もののようです。前著にはなかった「カットプリーツ」も追加されていました。「カットプリーツ」は、ポップアップカードなどにもよく使われる技術ですが、ここで紹介されているのは、プリーツにカットを入れたものだけなので、とても単純なものばかりでした。
 全体としては、この本の方が、説明が詳しくて、より分かりやすくなっている印象を受けました。
「折り」のスペシャリストによる「折のテクニックの集大成」の本ですが、折り紙が得意な人にとっては、「基本中の基本じゃないのかなー?」と思うようなシンプルな「折り」の技術ばかりなので、普段、難しい造形の折り紙を作っている方にとっては、もしかしたら「え? こんなものなの?」と、がっかりしてしまうかもしれません(汗)。
 それでも、シンプルなプリーツって、こんなに美しかったんだ! と、「折り」の美しさを再発見することが出来るのではないかと思います。
 折り紙や工作が好きな方は、ぜひ一度、眺めてみてください☆ <Amazon商品リンク>