『最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~』2018/7/13
鈴木祐 (著)

疲労・肥満・不眠・不安・病気・老化……文明病から脱却し、本来の自分を取り戻して最高の体調を実現する方法を教えてくれる本です。
実は、私たちが抱える問題の大半は、現代人に特有の「文明病」が原因なのだそうです。
「「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。(中略)少なく見ても、人類は600万年にわたって狩猟採集生活を続けてきたわけです。この壮大なタイムスパンを見れば、人間は進化の過程で古代の環境に最適化してきたと考えるのが自然でしょう。」
つまり「人類の進化と現代のミスマッチ」が、さまざまな問題の根本的原因なのだとか。
たとえば「肥満」についても、鈴木さんは次のように言っています。
「もともとヒトはハイカロリーな食事を好むように設計された生物なのですから、少なくとも意思の力だけで「肥満」に立ち向かうのが時間のムダだということはハッキリするでしょう。」
そして心のトラブルも、同じように、このミスマッチが原因になっているようです。
「狩猟採集の暮らしではあり得ない大量の情報に混乱を起こす……。現代人の扁桃体はつねにスイッチがオンの状態であり、その結果として、どうしても集中力は分散してしまいます。」
……なるほど、確かにそうなのかも……。
これらのミスマッチを克服して、最高の体調を得るためには、「健康な食生活(食物繊維、発酵食品)」、「十分な睡眠」、「運動」などを心掛けると良いようです。この「運動」は軽いエクササイズなどではもちろんなく、「軽く息があがるぐらい」から「ヘトヘトになるぐらい」までのレベルのもので、「1回45分の少しキツい運動を週に2回」のペースで行うのが、脳機能のアップが見込める最低のラインなのだとか。なにしろ私たちは「狩猟採集民族」として進化しているのですから……。
また不安やストレスなどの心の問題の方は、多すぎる情報を遮断する「デジタル断食」や、「マインドフルネス」、「自然にふれる」などが効果的なようです。
心のストレスは「人間関係」に関するものが多いと思いますが、実は「人間の脳は人間関係をつくることが苦手」なのだそうです。狩猟採集民族時代、人間関係は小さな集団で構成されていたので、大勢の友人とはうまく付き合えないのだとか。
「人の認知リソースは大勢の友人をさばくようにはできていないため、1回につき5人前後としか親密な人間関係を築けない、というわけです。」
「いくらSNSで1000人の友達を作っても、「満足」の感情システムは活性化されません。それどころか、自分との比較対象が増えたぶんだけ「興奮」と「脅威」のシステムが優位になるばかりでしょう。」
こんな感じで、「狩猟採集民族」の観点から、自分の体や心の状態を整えるにはどうすればいいのかを具体的に教えてくれます。そのほとんどは、よく考えてみると、一般的な健康本、自己啓発本で言われてきたものと同じなのですが(汗)、それだけに説得力もあり、実効性もあるものばかりなので、安心して実践できるのではないでしょうか(笑)。
肥満、散漫な集中力、慢性疲労、モチベーションの低下、不眠、弱い意志力……などの問題に悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。きっと何か、改善へのヒントをつかめると思います。
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