『インプレス標準教科書シリーズ M2M/IoT教科書』2015/5/1
稲田 修一 (監修), 富田 二三彦 (編集), 山崎 徳和 (編集), & 1 その他
M2M/IoTのビジネスや社会に対するインパクトやアプリケーション例、ビジネスモデルの考察、各種要素技術の動向や関連する標準化の動向について、体系的に整理してまとめた『インプレス標準教科書シリーズ M2M/IoT教科書』です。主な内容は以下の通りです。
第1章 Q&Aで学ぶM2M/IoTの基礎知識
第2章 M2M/IoTの活用と産業・社会イノベーション
第3章 M2M/IoTシステムを支えるアーキテクチャ
第4章 M2M/IoTのアプリケーションとビジネスモデル
第5章 M2M/IoTの各種プラットフォームとその動向
第6章 M2M/IoTを支える各種技術とその動向
第7章 oneM2Mの設立とM2M/IoTの国際標準化動向
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M2M/IoTについて広く(浅く)知ることが出来ますし、巻末に参考文献や索引もあるので、説明資料作りの時の参考書として役立つだけでなく、より詳しく知りたい分野への入門書的にもなると思います。
個人的に特に参考になったのは、「第2章 M2M/IoTの活用と産業・社会イノベーション」の中の「3 開発基盤の選択 (1)賢明な選択はクラウドサービスの利用」。M2M/IoTシステムを構築する時には、自分でシステムを所有して運用するよりも、クラウドサービスを使った方が効率的なようです。その理由は次の通りなのだとか。
理由1)開発スピードの高速化を図れる(クラウドサービスには、データ収集・分析用のさまざまなサービスやツールがある)
理由2)システムの規模やデータ量に応じたコンピュータ資源の利用が可能な上に、複数のデータを掛けあわせる際の柔軟性にも富んでいる。(M2M/IoTでは、必要とされるデータ処理用や蓄積量の見極めが難しい)
理由3)システムの保守・運用に手間がかからない
……なるほど、確かにそうですね。
さて、M2M/IoTで機能する多くのモノは、10年程度の製品寿命を想定する必要があり、情報セキュリティの機能についても、10年程度の使用に耐えるように設計する必要があるそうです。
でも、サイバー脅威の深刻化に伴い、情報システムの完全防護が現実的に困難になっている現状では、「情報セキュリティ対策の考え方もシステムの防護、情報漏洩の防止だけでなく、問題が起こることを前提に、システム防護に問題が起きたときや情報漏洩が起きたときの素早い対応、あるいは素早い機能回復を可能にするための仕組みを作るという考え方に変わってきている。」のだとか。
M2M/IoTの末端の機器には、最低限の機能しか持たせないようにするとか、故障や改造などの異常をすぐに検知する仕組みを組み込んでおくとか、異常が発生した時には、他への悪影響を避けるために、すぐに(遠隔操作で)切り離せるようにしておくとか……セキュリティの観点からも、いろんなことを考えておくべきだと感じました。
M2M/IoTに関して、体系的に幅広い知識を学べる本だと思います。この分野は変化がすごく速いので、定期的に改訂版を出して欲しいな、と感じました。
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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