『私なりに絶景 ニッポンわがまま観光記』2017/2/2
宮田珠己 (著)

「ヘンなところにまっしぐら」な、ゆるーい観光案内(絶景写真付き)。トホホな笑いが満載です☆
ユーモア作品がすごく好きな私ですが、この作者(宮田さん)の存在を知らないままでいて、たまたまこの『私なりに絶景』を読んでみてビックリ。面白すぎる……これはまるで、私史上第一位を争うほど面白い小説『ボートの三人男』の続編のような……たぶん椎名誠さんのエッセイが好きな人にとっても、すごく楽しめる紀行集です。個人的には、ツボでした(笑)。
しかも「絶景」写真たちがまた……すごくヘン☆ 表紙の写真のように、素晴らしい絶景もあるのですが、どう見ても「昔のゆるキャラ(?)」的な鬼コとか、仁王像とか、石仏とか……眺めるとクスクス笑わずにいられなくなる写真がいっぱい。こんな笑える紀行集があったとは。
ところでこの表紙の絶景は、隠岐の摩天崖という「ものすごい崖」なのだそうです。これを見るために宮田さんは、編集者のテレメンテイコ女史とともに寝台特急「サンライズ出雲」に乗り込みました。
このテレメンテイコ女史がまた、イイ味出しまくりです。摩天崖を見た彼女は、ニヤニヤと笑いだしました。この景色が、「ウケを狙って外しちゃったヤツみたい」だと言うのです。この時の二人の会話がすごく面白くて、まるで『東海道中膝栗毛』の弥次さん喜多さんみたいだな、と思いました。なお、この記事には、宮田さんによるらしい「うろおぼえハイジ」というイラストがあったのですが、これもまた「どうしてこんなレベルの絵を?」と怪訝に思わされるほどの、ゆるーい出来のイラストで……なんだか笑いがとまらなくなってしまいました。
摩天崖ハイキングの帰り道に立ち寄った由良比女神社では、いたるところにイカの装飾が施されてあったそうです。なんでもこの神社の前のイカ寄せの浜には、イカの大群が押し寄せるそうで……この状況で、イカが未来の覇者となるSF小説『フューチャー・イズ・ワイルド』を思い出した宮田さんの妄想の暴走が、反則技なほど笑えました。この時の写真もすごくシュール☆
さらに「青森のパンチラ鳥居」、「群馬の昼寝向き苔」、「長野のアンチほっこり仏」、「大阪のアスレチック霊場」、「京都のカラクリ御殿」、「四国の純粋モノレール」、「鹿児島のソフビ風仁王」など、不思議系の「私なりの絶景」の記録がどんどん繰り出されてきます。なかでも忍者屋敷や洞窟めぐりは、ちょっぴり冒険の旅っぽくて、わくわくさせられました。どれもすごく楽しくて、こういう旅もいいなあーと、いつか時間が出来たら是非とも行ってみたくなりました。あなたは、どうでしょうか? ぜひ読んでみてください。
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