『だいたい四国八十八ヶ所』2014/1/17
宮田 珠己 (著)
スタンプラリー感覚でまわる四国遍路の旅の記録です(笑)。一見ゆるーい旅の記録のように見えるのですが、実は四国を歩いて遍路してしまうという「かなりカンペキ」な遍路旅。その上、遍路旅全体の高低差マップや、観光の見どころ・注意すべきポイント、宮田さんが苦しめられた足のマメ対策への助言など、実践的に役にたつアドバイスも満載。すごく参考になる紀行記です☆
さて、宮田さんがこの四国遍路旅を始めたのは、特に神妙な動機は何もなく、一周してみたい(四国)、全部回ってみたい(八十八ヶ所)、いっぱい歩きたい、という理由だったそうです(笑)。そこで東京の晴海埠頭からフェリーに乗って、四国八十八ヶ所大一番札所霊山寺へ行き、売店で遍路用品を買い求めました。でも……数珠やろうそく、お線香など宗教的なものはあまり買わずに、納め札と読経だけというオプションなしのエコノミータイプのお参りにしたそうです。これを読んで、なるほど、そういう遍路旅も出来るのかと、遍路旅への敷居がぐんと下がりました(笑)。実を言うと、私自身、四国遍路旅には、スタンプラリー的・観光的に興味があったのです。神妙な動機はまったくないけど、人生の終盤、すごく暇になったら一度はやってみたいかもなーと考えていました(でも人生の終盤になったら、山道を歩けないかも、とも思いますが……汗)。この紀行記は、そういう人のために、特に参考になると思います(笑)。
例えば、「17番まで回ると徳島中心部まで戻るので、1から17番までが小さなループになる。ここで四国全体の予行演習ができる(ただし11~12番目は最大の難関「へんろころがし」)」という情報に、なるほど、まずはそんな「お試しお遍路(?)」をやってみるのもいいな、と感じましたし、宮田さんの実行した「歩き遍路」は、次々とできるマメの痛みや、避けられない台風に苦しめられるだけでなく、アスファルト車道(歩道がないことも多い)歩きがすごく苦しい(特に夏場は苛酷)ようなので、「スタンプラリー(観光)」目的なら、山道以外は車を使った方が断然良さそうだなと考えもしました。
さらに、この本には遍路の旅だけでなく、それ以外のいろいろな観光情報も載っています。宮田さんは遍路の旅の合間に、なんと「四万十川カヌー下り」や「太平洋シュノーケリング」、「しまなみ海道サイクリング旅」まで、やっちゃっているのです(笑)。
この「尾道からの、しまなみ海道サイクリング旅」は、個人的に「暇になったらやってみたい旅」の一つだったので、すごく参考になりました。実は、「しまなみ海道のサイクリングロードはずっと有料道路に沿って走るわけではなく、島と島とをつなぐ橋の部分だけが並行していて、あとは島の一般道を伝っていく」のだそうで、島を渡るたびに、橋の高さまで登ったり下りたりしなければならないようです。ふーん、そうだったのか……。瀬戸内海を渡る風を感じて、快適に走るお気楽旅というイメージだったけど、意外に高低差があるようです。この旅の途中に立ち寄ったという村上水軍博物館と潮流体験船にも、行って(乗って)みたくなりました。潮流体験船は、瀬戸内海の激流に何度も突っ込むという、他ではなかなか出来ない体験ができるそうです。
ゆるゆるのようで、かなり親切な情報満載の四国歩き遍路の旅。本音の感想ばかりなので、参考になるだけでなく、くすくす笑って楽しめます。
さて、四国遍路の旅の途中、手元の道路地図を広げて宮田さんはこう思います。
「だいたい自分のあるいた距離が、日本地図上で確認できること自体新鮮な感じがする。」
ホントにそうですよね……四国遍路の旅、がぜん行ってみたくなりました。