『汚れの科学 汚れはどのように発生し、どのように消えるのか (サイエンス・アイ新書)』 2018/2/16
斎藤 勝裕 (著)

さまざまな種類の汚れ(ホコリ汚れ、レンジまわりの油汚れ、シンクの水垢、浴室の黒カビや湯垢、トイレの黄ばみや尿石、そしてサビなど)に対して、どんな化学洗剤が清掃効果を発揮するのかを、具体的に教えてくれる本です。
「第1章 汚れが発生するしくみと落ちるしくみ」では、水溶性の汚れと脂溶性の汚れ、洗濯とドライクリーニング、セッケンと中性洗剤、重曹とクエン酸など、「汚れと洗浄」の基本を学べます。
そして「第2章 衣料の汚れ」、「第3章 水まわりの汚れ」では、一般的な「汚れ落とし」の方法について、その科学(化学)的なしくみから学べます。……だいたいの「洗浄」の本では、このあたりの解説が中心になると思うのですが、この本ではさらに「第四章 日用品の汚れ」で自動車・自転車・ホビーなどの汚れ落とし、「第五章 家屋の汚れ」で家屋や庭の汚れ(雑草)落とし、「第六章 体の汚れ」では、肌、爪、髪、歯、目まで、すごくいろいろなものの汚れの落とし方を教えてもらえました。科学者の視点からの解説のせいか、知らなかったことも多くて、すごく参考になりました。そのうち、いくつかを以下に紹介させていただきます。
まず中性洗剤について。中性洗剤は「中性」なのだと勘ちがいしていましたが、実は水に溶かすと「酸」と「塩基」になるそうで、両者を相殺して全体として「中性」になっているそうです……知りませんでした(汗)。
また「漂白剤」というのは、ものを「白くする」ものだと勘違いしていましたが、実は、「分子は一般に、二重結合の連続が長ければ有色であり、短ければ無色なのです。これは簡単に言えば、長い、あるいは大きい分子を適当に切断して短く、あるいは小さくすれば色は消える、すなわち白くなるということを意味します。漂白剤というのは、まさしくこの原理を実行するための化学薬品なのです。」なのだそうです! へー……。
さらに「輝く白さ」になる蛍光漂白剤は、汚れの黄色がかった色を、エスクリンの発する青白い光でマスクすることで、輝くような白に見せているのだとか……色を落としているのではなく、染めて(マスクして)いたのですか……びっくりです。
そして、「油脂は粘着性ですから、空気中を漂う細かい埃が油脂に吸い寄せられるように付着します。不飽和脂肪酸は酸化されやすい性質があります。酸化されると液体だった油脂が固体になります。(中略)このようにして油汚れは時間が経つにつれてたくさんの埃を呼び、酸化されて固体になり、ますます落ちにくくなります。」という記述には、そのあまりの説得力に、油汚れはとにかくすぐに落とすようにしなければ……と確信されられました。
その他にも、「自転車のホイールやサドルの支えなどの錆びている部分に白い木工ボンドを厚めに塗ります。それを一日程度放置して、ボンドが乾いて透明になったら透明膜を端から剥がします。錆が落ちて綺麗になっているはずです。後は錆び止めのクリームを塗っておけば完璧です。」などの役に立ちそうな情報が満載☆ 科学(化学)は生活にもすごく役に立つんですね(笑)。ぜひ読んでみてください。