『ペーパーチャレラン 厳選・保存版』2015/8/31
伊藤 亮介 (監修), こどもくらぶ (編集)

「拡散的思考を育てる学習ゲーム」ペーパーチャレランを楽しめる本です。
「チャレラン」とは「チャレンジランキング」のことで、子どもたちがなにかにチャレンジした結果を記録し、そのランキングを競うという教育的活動のことだそうです。
ペーパーチャレランの本はたくさん出版されていますが、この本は、そのなかでも、こどもくらぶ編集部がおもしろいと思ったテーマで制作された「厳選・保存版」です。
迷路や文字合わせなど、色んな種類のゲームを通して、算数や国語を学べるドリルという感じの本です……が、注意して欲しいのは、この本には「正解は書いていない」こと。というのは、どのチャレランにも、「正解」は特に設定されていないのです。
例えば、最初のチャレラン「宇宙旅行チャレラン」は、スタートからゴールまで、迷路のような道を進んでいくのですが、どの経路をたどるかは自由。ただし経路中に「+1」、「×2」、「-3」などの数字や記号が書いてあり、それを計算しながら進むので、最終的にその合計点がいくつになるのかは、自分が選んだ経路によって変わります。できるだけ高い得点を目指す……というものなので、「最高得点になる経路」はいくつかあるのだと思いますが、それは掲載されていません。どれが最高得点になるかは分からないまま、優劣を競うという形式のゲームなのです。だから「何度でも挑戦できる(したくなる)」「負けても次に勝とうという気持ちになる」のだそうです。(なお、競い合う相手がいなくても、得点を記録しておけば、「昨日の自分」と競い合うことが出来ます。)
だいたいのチャレランは「親子」で競う、という設定になっていますが、少なくとも四則演算の計算が出来ないと、そもそも得点を出せませんし、単語しりとりをやる時も、数多くの単語を知っているか、辞書の使い方が分からないと、正しいか正しくないかの判定が出来ないと思います。だから少なくとも慣れないうちは、子供たちだけで、このチャレランをやるのは、ちょっと難しいかな、と思います。
全体は「基礎編」「発展編」「英語・ローマ字編」に分かれていて、難易度はしだいに高くなっていきます。内容も「算数」「国語」「英語」「迷路」「しりとり」などバラエティに富んでいるので、飽きずに「チャレラン」できます。
適度な難易度のものが多いので、やっていると「推理力」が高まっていくのが感じられ、頭を鍛えているなーと実感できると思います。子ども向けの本ですが、高齢者の方の脳トレにも使えると思います。普通の「脳トレドリル」に飽きてしまった方は、このチャレランにトライしてみてはいかがでしょうか。