『和書:不思議な船の旅 (とびだししかけえほん)』2016/9/30
ジェラール ロ・モナコ (著)、G´erard Lo Monaco (原著)、きたむら まさお (翻訳)

『洋書:A Sea Voyage: A Pop-up Story About All Sorts of Boats(英語)』2016/11/15
Gerard Lo Monaco (著)

若い夫婦と愛犬が、ヨットで世界をめぐる旅に出て、救命艇や大型帆船など風変わりな6種類の船に出会うという「船の飛び出ししかけ絵本」です☆
どのページでも、いろんな船が大きく飛び出してくるので、船好きには嬉しい絵本です。主役の(?)夫婦の乗ったヨットは小さいので、何気なく眺めていると見落としてしまいそうになります(笑)。特に大型客船や大型帆船に出会った時には、すごく小さくなってしまうので、よーく見ないといけません(笑)。逆に言うと、夫婦の小さなヨットのサイズから、色々な船のサイズ感が分かるとも言えますが……。
子供向けの本が多い「しかけ絵本」ですが、表紙の絵でも分かるように、この本は色彩がかなり落ち着いていて、全体のイラストに使われているのもグレーがかった赤と青と白と黒だけのせいか、かなり大人っぽいお洒落な雰囲気が漂っています。登場してくる船も、夫婦の服装もちょっとレトロな感じで、なんか一昔前の、セピア色した船旅の記録写真を眺めているようなイメージもあります。
大人も子供も楽しめる船のしかけ絵本です。……が、使われている紙が丈夫な上質紙ではなく画用紙のようなので安っぽい感じがするだけでなく、しかけの作りもちょっぴり雑な感じがしました(汗)。それはそれで「レトロ」感があって、むしろ良いのかもしれませんが……何度も開いたり閉じたりしていると壊しそうな感じがするし、せっかくの大きな飛び出ししかけなのに、「豪華」感に乏しい感じもして……その点がちょっと残念でした(汗)。どのページにも凝った作りの「飛び出すしかけ」があるとはいえ、すべて「海を進んでいく船」の飛び出ししかけばかりなので、ちょっぴり単調な感じもしてしまいますし……。せっかく「糸」を使うなどの複雑なしかけを使っているのに、それが、あまり効果的と感じられないのが、もったいないのです……。
それでも、色んな形の船を楽しめて、どのページにも登場する小さいヨットの姿にユーモアが感じられるので、船や船旅好きの大人の方なら、すごく楽しめるのではないかと思います☆
さあ、一緒に「不思議な船旅」に出かけましょう☆

・1~2ページ目: 中表紙(イラストのみ、しかけなし)
・3~4ページ目:荒れる海に出航しようとする小さいボートと、その水先案内をするパイロット・ボートが大きく飛び出します。
・5~6ページ目:嵐になりつつある海に小さいボートから投げ出された犬と、それを救おうとする救命艇が大きく飛び出します。
・7~8ページ目:澄んだ青い空に高く帆をあげるキャラベル船が、小さいボートの近くをゆったり航行していきます。鯨の姿も見えます。
・9~10ページ目:空には飛行艇が飛び、穏やかな海を大型客船が横切って進んでいきます。
・11~12ページ目:いっぱいに帆をはった大型帆船が世界中をまわる海旅をしています。
・13~14ページ目:闇にむかっていく夕暮れの海に、明かりをともす灯(台)船が、小さいボートを安全な方向へ導きます。
・15~16ページ目:奥付(イラストのみ、しかけなし)