『極大と極小への冒険』2014/6/26
デイヴィッド ブラットナー (著), David Blatner (原著), & 2 その他

 巨大な星、聴こえない音、一瞬で全てを溶かす熱、限りなく短い時間……私たちは、理解しがたいほど大きなものや、肉眼では見えない小さな物質に囲まれて生活していますが、認識できるのはそのごく一部に過ぎません。この本は、そんな人間の知覚可能範囲を超えた極大と極小の世界の実態を、分かりやすい比喩をつかって説明してくれる科学読み物です。子どもの頃からSFや科学が大好きだったので、この本はすごく楽しめました。
 内容は、「数」「大きさ」「光」「音」「熱」「時間」にジャンル分けされていて、それぞれの極大と極小の両極まで広がる世界を、最新の知見を交えて、すごく分かりやすく説明してくれます。
 最近は、すごく科学から遠ざかっていたのだなあ、と痛感させられたのが「光」の章の次の記述。
「あらゆる光(正確に言えば、あらゆる電磁放射線)が真空を進む速度は一定している。ただ、「真空を」という但し書きをつけることが重要だ。というのは、気体や液体や透明の個体の中では、光の速度は実際やや落ちるからだ。棒の先を済んだ小川に入れてみよう。水面で棒が「曲がる」のが見えるだろう。これは水面下では空気中より光の速度が現に遅いからだ。ダイヤモンドに光を通しと、その速度は通常の約4割にまで遅くなる。それどころか、科学者は極度に冷やしたルビジウムやヘリウムのガスの雲にレーザーを照射するといったじつに賢いやり方で、光線を事実上止まった状態(消えたように見えるけれど、じつは停止した状態)まで減速させることさえできる。」
 ええ? そうだったんだ、と驚いてしまいました(汗)。というのも、「光が秒速およそ30万㎞で進む」というのは「不変」だと、いつの間にか信じてしまっていたからです(汗)。でも、確かに、水面で棒が曲がってみえるのは、目に入ってくる「光」の速度が変わっているからですよね……。
 こんな感じに、「数」「大きさ」「光」「音」「熱」「時間」に関する知識を、楽しく再学習させてくれます(笑)。
 また、極大から極小へのスケールも、「人間の全力疾走:12m/秒、竜巻の風速:112m/秒、静止軌道の衛星:3100m/秒」などと分かりやすく表示してくれるので、すごくイメージを掴みやすいと思います。巻末には、数の単位の一覧表があり、これも役に立ちそうです。
 SFは好きだったんだけど、最近、忙しすぎて読んでいない……という科学好きの方に、特にお勧めしたい本です。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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