『知って得する! 口から健康 お役立ちBOOK むし歯・歯周病・歯並び・口臭……歯科の新常識』2021/9/21
一般社団法人日本訪問歯科協会 (監修)
18名の歯科医師が、むし歯、歯周病、歯並び、口臭などの新常識をやさしく解説してくれる本です。
例えば最初の新常識は、「唾液が減ると口内炎になりやすい」というもの。唾液が減る原因は、加齢や口呼吸、ストレス、噛む回数の減少、薬の副作用、糖尿病やシェーグレン症候群などの病気といろいろだそうで、対処法も原因ごとに異なりますが、当面の対策としては、こまめなうがいと保湿、唾液腺のマッサージがいいそうです。マッサージの方法が、イラストで分かりやすく紹介されていました。
また次の新常識は、「口呼吸が感染症を引き寄せる」。それに対処するためには、「口のまわりや舌の筋力を鍛えることで、口呼吸から鼻呼吸へ導ける」ということで、次の方法がイラストで紹介されていました。
1)「あー」と大きく口を開ける
2)「いー」と大きく横に開ける
3)「うー」と口を強く前に突き出す
4)「ベー」と舌を突き出して下に延ばす
これを1日に30セットを目安に行うと良いそうです。
そして、とても怖いと思ったのが、歯と認知症との関係。
「奥歯を失うと認知症のリスクが上がる」そうです。その理由は、奥歯で噛まないと脳への刺激が減るだけでなく、奥歯がないと食べられるものの種類が限られるので、脳の健康に必要な栄養素が十分に摂取できなくなり、また歯周病自体も脳に悪影響を与えるのだとか……奥歯で噛むことは、脳のためにも大事なんですね。
また「認知症と診断されたらすぐに歯科へ」には、次のように書いてありました。
「認知症が進むと、どうしても理解力が低下します。意思疎通も難しくなるため、治療などを行おうとしても拒否され、口を開けてもらえないというようなことが起こりがちです。(中略)
また、認知症になると、それまでできていたことが少しずつできなくなり、歯磨きやうがいも難しくなっていきます。」
さらに「歯周病予防は認知症も予防する」そうで、次のように書いてありました。
「歯周病菌という毒素は、(歯周ポケットだけでなく、歯茎の毛細血管から体内に侵入し、血流に乗って体内に運ばれ、)脳にも運ばれてアルツハイマー型認知症を引き起こす危険因子となります。(中略)
歯周病はアルツハイマー型認知症のほかにも糖尿病や心疾患、がんなど深刻な病気を引き起こす反面、進行するまで自覚症状が乏しいことからサイレントキラーと呼ばれます。毎日の歯磨きや歯科定期健診を習慣にして歯周病を予防することは、長い目で見ればアルツハイマー型認知症を予防することにつながるのです。」
……なるほど。歯や歯周病は、認知症とも深い関りがあったんですね。
さらに、「睡眠時無呼吸症候群なら嚥下障害にも要注意」には、次の記述が。
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠時に無呼吸を繰り返すことでさまざまな合併症を起こす病気です。(中略)嚥下障害と関係があるのは、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」です。(中略)
たとえ軽症でも、SASの人は舌筋の筋力が低下している可能性があります。放置するとSASも嚥下障害も進行してしまう危険があるので、普段から舌筋を鍛えておきましょう。そのために効果的なのが、「パタカラ体操」です。パ、タ、カ、ラの4つの音を破裂させるようにはっきりと発音するだけですが、舌筋のトレーニングに最適です。」
……このように歯に関する新常識だけでなく、口の健康を良くするためのトレーニングなどもイラストで分かりやすく紹介されています。もちろん、ここで紹介した以外にも、たくさんの新常識が掲載されていました。
見開きページで1テーマになっているので、暇な時間にパラパラ見ると、参考になるとともに気分転換にもなるので、一石二鳥だと思います。みなさんもぜひ読んでみてください。いつまでも健康でいられるよう、「口」の健康も守っていきましょう☆
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