『はじめての「白い切り絵」 華やかさと繊細さを楽しむ美しいカラー切り絵』2019/3/15
平石 智美 (著)

 白をベースに色を加えた、新しいスタイルの切り絵の本です。表紙の写真にあるような、うさぎや鳥、ねこなどの動物や幻想的な風景、ウェルカムボードのような実用的なアイテムなど多彩なバリエーションのデザインを、60点紹介してくれます(すべてコピーして使える図案付きです)。
 一般的な切り絵はベースを黒い紙で作りますが、線が黒いとステンドグラス風になって、それが素敵でもあるのですが、部屋に飾ると「主役感」が強いですし、たくさん飾ると部屋全体が暗い印象になってしまいます。
 この本では「白い切り絵」を教えてくれるので、飾ってあっても自己主張が少なく、部屋になじみやすいと思います。
 華やかさと繊細さを明るく楽しめる「白い切り絵」ですが、「白い」ことによる問題もあります。それは「白い紙」だと裏の色が透けて見えやすいこと! 黒い切り絵の場合は、どんな紙でも透けることはありませんが、白い切り絵の場合は、最初の紙選びが重要です。この本には、次のように書いてありました。
「基本的には切り絵に使う紙に決まりはありません。一つだけ注意したい点は、「色をつけた時に裏側にある色和紙が透けて見えてしまわないか」ということ。そのためにはある程度の「厚さ」のある紙を選ぶことになります。」
 平石さんは、主に画用紙やタント紙、マーメイド紙、レザック、コットンライフという、表面に凸凹の質感のある紙を好んで使っているそうです。凸凹のある紙の方が出来上がりに上質感が出るようです。
 ただし、この本で教えてくれる切り絵は、基本的に「デザインカッター」で切るものなので、厚みのある紙だと切りにくいことがあります。透ける限界の厚みを選んだ方がいいでしょう。
 また、この本では、細かな作業が苦手でも簡単に繊細な表現が出来るように工夫した「重ね切り絵」という手法を使った作品も教えてくれます。
 主な内容は次の通りです。
☆ Chapter1 道具(基本の道具、切り絵の紙、色つけの紙など全8項目)
☆ Chapter2 作り方(基本的な切り方のポイントと、切り絵の創作行程の紹介(カッターの使い方、色の付け方など))
☆ Chapter3 白い紙で作る花や動物、かわいいモチーフの切り絵(シンプルな白い紙の切り絵、カードなど全11項目)
☆ Chapter4 重ねて美しい白い切り絵(「重ね切り絵」の紹介。 重ね切り絵のしおりなど全4項目)
☆ Chapter5 白い紙を生かした風景と人物の切り絵(白い肌の女の子の切り絵など全2項目)
☆ Chapter6 美しい「線」を楽しむ切り絵(色つけのない切り絵の「線画」。曼荼羅の世界など全2項目)

 切り絵では特に「カッターの使い方」が重要ですよね。例えば、「角の切り方」については、「角がある場合は、角の部分から切り始めます。次の角に差し掛かったら一旦、刃を抜いて紙の向きを変えます。ひとつの角ずつ丁寧に切ることが大切です。外側へ向かった過度の場合は、クロスするように少しはみ出させて切ると、鋭くきれいな角になります。」ということをイラストで紹介してもらえます。
 また「色つけ前にカッターの刃を取り替えましょう」とも書いてありました。傷んだ刃先を使っていると、引っかかってしまいますから、こまめに交換することが綺麗な作品を作ることにつながるんですね。
「色つけ」に関しては、裏に色和紙を切って貼る方法の他、全体にグラデーション等をつけた色紙を使う方法も紹介されていました。面倒くさがりの私としては、作品に合わせた色(グラデーション)をあらかじめ着色した用紙に、白い切り絵を重ねる方法が簡単でいいなと思います。着色方法は、パステルや水彩の他、パソコンで印刷というやり方もあります。
 また、「白い切り絵」の最大のメリットは、「白い部分にも色をつけられる」ことだと思います。Chapter5では、「白い肌の女の子の切り絵」に、「頬紅を塗るように着色」する方法が紹介されていました。
 さらに、「切り絵」をランプシェードにする作品もあり、これも「黒」よりも「白」の方が光が柔らかくなって、とてもいいなと感じました。この作品は白ではなく、灰色やベージュを使っても素敵だと思います(汚れも目立ちませんし)。
 その他にも、「重ね切り絵」の間にトレーシングペーパーを挟んで奥行き感を出すとか、いろんなアイデアが盛り込まれていて、とても参考になりました。
 幻想的で繊細な「白い切り絵」を教えてくれる本です。ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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