『江戸の遊び切り紙: 切り絵から立体透かし細工まで粋なかたちが満載』2016/12/1
パピエ舎 (著)

 江戸にまつわる切り絵や、紙細工を遊ぶ本です。
 最初に、「用意するもの」として、カッティングマット、ものさし、はさみ、カッター、目打ち、ピンセットなどの説明があり、次に「紙(和紙折り紙や、ラシャ紙、色画用紙、タント紙など)の説明」、続いて「型紙の使い方」など、切り紙の作り方に関する基本的なことを教えてもらえます。
 その後、切り絵作品のカラー写真とその型紙という構成になっています。
 この本の切り絵作品は、そんなに難しいものはないとはいえ、ほとんどが「カッターで切り抜く」タイプのものです。だからお子さんや介護施設で楽しむというよりは、手芸や工作が好きな方向けの切り絵の本だと思います。
 さて、最初の作品は「判じ絵の切り絵」。これがすごく楽しい。
 うずまき模様の真ん中に「ら」が描いてある不思議な判じ絵が「謎」として提示されます。これの答えは「渦になっている「ら」だから「うずら」」(笑)……こんな感じで5つの楽しい判じ絵(お題+答)のセットの切り絵が楽しめます(このモチーフは、モビールにして飾れるようです)。
 次は「地口(じぐち)絵の切り絵」。地口とは、語呂合わせの言葉遊びだそうです。ここでは江戸の浮世絵師・歌川国芳の楽しい「ねこ(猫の生態を東海道五十三次の宿場名で語呂合わせで描いたもの)」の切り絵を楽しめます。ねこのポーズが、すごくリアルで面白い☆ よく観察してるなー、飼っていたんだろうなーという感じ(笑)。

 こんな感じで、江戸で生まれた粋な文様を、切り紙や透かし切り、蛇腹切りなどで楽しむ文様遊びがたくさん掲載されています。江戸ならではの花火や相撲、金魚などの風物を、切り絵や立体カード、モビールなどにして飾れます。郷土玩具をテーマにしたおもちゃ作りもあって、江戸の雰囲気を切り絵で存分に楽しめます。
 箱などの立体の作品もあって、切子遊びを楽しめるコップっぽい形の作品は、中にLEDライトを仕込むと、素敵な光と影を映し出す灯りとしても楽しめそう。
「畳み変わり花火」という作品は、切り絵の周りの6色の折り紙を畳むと、花火の色がアニメーションのように変わる遊びが出来るというもの。これは、ただ飾ってあるだけでも綺麗だと思います。
 そしてとても素敵だと思ったのが、「金魚の屏風カード」と「春の屏風カード」。屏風状に四つ折りにした紙に、金魚や桜の花びらの切り絵を入れたシンプルなものですが、色も形もとても洗練されていて、上品でお洒落なカードでした。
 江戸情緒を楽しめる「和の切り絵」の本。面白くて素敵な江戸の文様を堪能できるので、ぜひ眺めてみてください。
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