『始める! 山歩き (山の教科書)』2013/3/15
佐々木亨 (著, その他)
山歩き初心者向けの「山の教科書」です。フルカラーのガイドブックで、写真やイラストが豊富で、とても分かりやすいです。
「山の教科書」なのでカタイ内容かと思いきや、最初の数ページは里山や森や高原、湿原などの美しい風景写真。うわー、こんな所をのんびり歩くと楽しいだろうなーと眺めるだけで、わくわくしてしまいます。
しかも内容もかなり充実しています。初心者向けの本なので、山歩きとしてすごく常識的な注意も書いてあります。例えば、こんな感じ。
「山歩きは気象条件に大きく左右されます。(中略)山歩きの計画では、標高による気温差に関する知識も必要です。山の気温は、標高が1000m上がるごとに約6℃下がります。(中略)したがって、夏山でも高山ではフリースやダウンジャケットなどの防寒着が欠かせません。さらに風があると、実際の気温よりも肌で感じる温度は下がります。これを体感温度といい、山での防寒対策は風も考慮して備えをすることが重要です。」
そして「はじめて歩くコースの選び方」が、すごく参考になりました。
「入門コースに共通するのは、おおよそ標高1500m以下の山で、指導標などがよく整備され、危険個所や迷いやすい場所がなく、コースタイムの合計が3~4時間という条件です。さらに登山適期となるシーズンが主に春と秋で、シーズン中の休日には多くの人出があるという点もほぼ共通しています。はじめの一歩は、このような条件がそろうコースを選び、晴天の日に、登山口から朝9時には歩き始められるよう、自宅を出発します。」
もちろん、この条件に合っている「はじめて歩く日帰りハイキングコース」のお勧めコースとして、次の10コースの簡単な説明もあります。
・関東8コース:高尾山、烏場山、筑波山、日和田山、陣馬山、高水三山、三頭山、大山
・関西2コース:六甲最高峰、二上山
そのほか、「こんな用具をそろえよう」では、基本用具、ウェア、装備リストに関する解説があり、「安心・快適な山歩き術」では、疲れにくい歩き方、山のマナー、コンパス活用、状況に応じた歩き方に関する解説、さらに「山小屋泊まりのトレッキング」では、山小屋の利用方法などについても説明がありました。初心者にとっては、どれもすごく参考になります。
「「山小屋泊まりのトレッキング」のお勧めコースとしては、北八ヶ岳の詳しいレポートの他、至仏山、金峰山・瑞牆山、燕岳、涸沢カール、硫黄岳、仙丈ヶ岳、妙高山・火打山、木曾駒ケ岳、御嶽山、白山の簡単な説明がありました。
「山歩き」を始める初心者にとって、知りたい情報が満載の「安心・快適な山歩きの教科書」だと思います。ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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