『キャッシュレスで得する! お金の新常識』2018/7/2
岩田 昭男 (著)

 今後ますます広がる「現金払いとキャッシュレス決済のサービス格差」に乗り遅れず、キャッシュレス化時代を賢く生きるためのヒントを教えてくれる本です。
 2020年東京オリンピックに向けて、急速に進み始めているキャッシュレス化ですが、実は海外では日本よりキャッシュレス化が進んでいるので、日本でも同じようにキャッシュレス化を進めて、東京オリンピックなどで日本にやってくる外国人観光客に、できるだけ多くのお金を使ってもらいたいというのが、日本政府と経済界の正直な思いなのだとか。
 私個人は、すでにクレジットカードやSuica、WAONなどを便利に使っていますが、日本人には、まだまだ「現金」で買い物をしたい人も多いように感じます。現金なら、だいたいは、どこのお店でも使えますし、クレジットカードやSuicaなどは、登録が面倒だとか、そもそも選ぶのが面倒だとか、使い過ぎが心配だとか、個人情報流出が心配だとか、いろんな不安があるのでしょう。
 実を言うと私自身も、今後はスマホ決済とか、仮想通貨も利用を検討すべきだろうか、と考えながらも、「どれを選んでいいのか分からない」という理由で、検討することすら面倒に感じています(汗)。……この本を読んだ今でも、うーん……すでにキャッシュレスの手段はいくつか保持しているのだから、スマホ決済とか仮想通貨とかは、「本当に絶対に必要」だと感じるようになってからでもいいか……と考えているのでした(汗)。
 それでも、すでに使っているクレジットカードやSuica、WAONなどは、便利だしポイントもたまってお得なので、これらを利用したことがない方は、ぜひこの本を読んで、利用することを考えてみて欲しいと思います。
 と言うのも、キャッシュレス化は、もはや時代の趨勢になっているからです。2020年東京オリンピックに向けて、政府や経済界もキャッシュレス化推進に力を入れていますし、今後はキャッシュレス決済がどんどん進んでいくと予想されます。だから、自分がどのようにキャッシュレス化を使っていくかを、一度はじっくりと考えてみた方がいいと思うのです。
 この本では、クレジットカードや電子マネー、ポイントカードなどの概要紹介だけでなく、自分に合った「クレジットカード+電子マネー+ポイントカード」の組み合わせ例も紹介してくれるので、とても参考になると思います。
 個人的には、セキュリティ関連の情報が、参考になりました。例えば、最近増えているQRコード決済。セキュリティ面が不安なので使ったことはなかったのですが、中国では次のような事例があったそうです。
「QRコードの紙片を店先に掲げて商売している屋台では、セキュリティ面では貧弱といわれても仕方がない。中国では、店頭のQRコードが偽造したものに差し替えられ、そのQRコードを撮影したお客のデータが犯罪者の元に送られ、不正に利用されたという事件が起きている。」
 ……やっぱり、そうなんですか。屋台みたいな場所では、現金を使いたいなー……。
 さて、中国ではキャッシュレス化が急激に進んでいるようですが、その個人情報の取り扱いには、懸念を抱きつつ注目しています。なかでも気になっているのが、中国のネット通販大手アリババが提供するスマホ決済サービスのアリペイが、2015年から始めた「ジーマ信用」。この本によると、次のようなことを行っているようです。
「アリペイに蓄積された利用履歴をもとに点数がつけられ、利用者は「劣る」~「きわめて優秀」までの5段階にランクづけされる。点数は、アリペイの支払い履歴で集まる信用情報や政府が提供するデータ、それに基本的な情報である学歴、職歴、資産、人脈、行動などをもとに決められ、毎月発表される。」
 ……支払いをきちんとするなど良い行いをする人が正しく報われ、不正を行う人は信用を落とされる、そういう社会が望ましいと思う反面、もしも間違った評価を行われたら怖いという不安も感じてしまいます。そういう意味で、中国の社会がどのようになっていくのか、今後も注目したいと思います。
 キャッシュレス決済について、幅広く総合的に学べる本でした。キャッシュレス決済を始めたいと思っている方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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