『地震予測は進化する! 「ミニプレート」理論と地殻変動』2019/5/17
村井 俊治 (著)

 東日本大震災以降も熊本など各地に大きな地震が頻発している日本で、「MEGA地震予測」を毎週発信している村井さんが、地震予知について考察している本です。
「1950年代および60年代にプレートテクトニクス理論が登場すると、大陸移動説は世界的に認められるようになった。そして80年代に、遠い電波天体から送られてくる電波を大型アンテナで受信する超長基線電波干渉計(VLBI)という測量技術が開発されると、大陸間の移動が正確に測量できるようになり、大陸移動説は科学的に証明された。実際、日本とハワイは年に六センチずつ近づいていることが測量されている。」
 日本とハワイは年に6センチずつ近づいているんですか! やっぱりプレートは動き続けているんですね……。
「実際に測位衛星で地球の変動を観測し、分析していると、地球が日常的に変動している様態が分かる。地球の変動と地震との相関を調べていくと、さまざまな関係が浮かび上がる。」のだそうです。
 そして村井さんは、測位衛星データを用いて地殻の三次元的変動から同じような変動をしているクラスタに定量的に分類し、日本列島を次の八つのクラスタ(ミニプレート)に分けたのだとか。
1)中央構造ミニプレート
2)南寄り中央構造ミニプレート
3)南岸ミニプレート
4)北寄り中央構造ミニプレート
5)島根・茨城横断ミニプレート
6)新潟・福島横断ミニプレート
7)出羽ミニプレート
8)北上ミニプレート
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 この本の中では、8つのミニプレートが日本地図にイラスト表示されているのですが、驚くほど日本全国に「散らばった」プレート(塊)です。例えば、「1)中央構造ミニプレート」上にあるとされているのは、なんと北海道北部と中西部、関東から近畿の太平洋ベルト地帯及び四国と九州の一部で、その間にある東北地方は、この「1)中央構造ミニプレート」からは除外されています。
 正直に言って、この日本地図に描かれている「1)中央構造ミニプレート」を見ると、北海道部分とそれ以外の距離が離れすぎていて、これを同じクラスタに入れる必要があるのかどうかについて、疑いを抱いてしまいました(他の「ミニプレート」も距離的に離れたものが、同じクラスタに入っています)。でももしも、今後もこの「離れた地点」が同じような動きを続けるのなら、そのことがむしろ、「日本列島の成り立ち」を解明する手掛かりになるのでは、とも期待してしまいました。そういう意味でも、今後も観測&分析を続けていって欲しいと思います。
 さて、「現在の医療では、血液検査、心電図検査、MRI検査やCTスキャンなど、さまざまな検査によって総合的な診断を行っている。地震についても同様で、電子基準点や海底基準点など、実際の観測データに基づいて総合的な予測を行うことが大切だということである。」と本書の中で村井さんも言っているように、IoTなどIT技術がどんどん進歩発展している現在、地震国日本としては、測量技術を活用しての「地震予知」も進めていくべきだと思います。
「地球の表面は絶えず、上下左右に微妙に「動いて」いる。私たちは、地球と一緒に動いているから分からないだけだ。(中略)したがって、地球の「動き」は、地球の外からでなければ計測できない。言い方を換えれば、地球の外から測量すれば地球の「動き」が分かり、その「動き」に異常があれば、地震が起きる前兆かもしれないのである。」
「東日本大震災のときの宮城県は一様に大きく沈降し、熊本地震のときの熊本県は隆起と沈降が混在していた。この二つの図を見ても、地震の様態は多様であることが分かるであろう。」
 地震の様態は多様なので、その予知が簡単だとはもちろん思ってはいませんが、変動データを計測し蓄積していくことで、将来的に、現在よりも地震予知の確率を上げていけることを願っています。
 地震予知に興味のある方はもちろんのこと、地学に興味のある方も、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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