『OUR PLANET: 私たちの地球』2019/4/2
Alastair Fothergill (原著), Keith Scholey (原著), アラステア フォザギル (著), & 2 その他

 とても美しい素晴らしい自然の写真が満載の大型豪華本です☆
 表紙のOUR PLANET・地球の写真も美しいですが、ぱらぱらめくって見るだけで、見開きページいっぱいにあふれる大きくて高精細な自然の写真に、とても癒されます。緑の森の写真、透明度の高い海中を泳ぐ魚たち、そして野生動物の大群……息をのむような美しい写真たちに、私たちの地球って、やっぱり素晴らしいなーと、うっとりしてしまいました。ちびワニの大群の囲まれるワニのパパの写真とか、木の陰からこわごわ様子を窺ってくるヒグマとか、とても面白い写真もあって、すごく見ごたえがあります。
 うーん……ブルー・プラネット、われわれの美しい地球を愛でる写真集か……と思って本文を読んでみたら、なんと本文記事の方は、「自然破壊の危機」を訴える内容だったのでした(汗)。
 実は、「わずか40年のうちに野生動物の数は半減し、生物多様性は世界全域で失われつつある。」のだそうです。だからこの本の目的は、私たちに自然の再生のための行動を促すためにあるのでした。
「本書は壮大な生態系の復元を求める最後の呼びかけでもある。自然の再生を促すよう、今日から行動に出よう。このような呼びかけをするのは、今ならまだ間に合うとわれわれは信じているからだ――自然の再生は実現可能であり、人類にとっても死活問題だと信じている。」
 野生動物の減少、森林破壊、地球温暖化……これらを食い止める努力をいま始めないと、私たちの環境は、破滅的なほど悪化してしまうかもしれません。
 また、この本は、私の知らなかった意外な事実も教えてくれました。
「砂漠は世界に対し、驚くべき機能も果たしている。砂漠の砂嵐は、痩せた土が大地から吹き上げられ、まるで自然のメルトダウンのように見えるが、生命に恵みをもたらしている。砂漠のミネラルが遠い熱帯雨林を肥やしているのだ。リンの豊富なサハラ砂漠の砂塵は、毎年数億トンも風に運ばれて大西洋を越え、その多くがアマゾン流域に落ちる。アマゾンの森には植物の生育に欠かせないリンが不足している。サハラの砂塵がなくなっても、この世界最大の熱帯雨林は生き残れるだろうか? おそらく無理だろう。砂塵には鉄も含まれている。鉄は遠洋のプランクトンの成長に欠かせない。大西洋に含まれる鉄の4分の3はサハラ由来だという。砂漠の砂嵐がなければ、海の一部はまさに砂漠と化すだろう。」
「海は鉱物と魚の巨大宝庫という可能性を秘めているだけではない。気候や天候を左右する力も有している。大気から得た熱を大量に貯え、その影響を安定化させる。気温が上昇し続けている今日では、海がその熱の多くを吸収し、気温を下げる働きをしている。また、私たちが放出している二酸化炭素のおよそ3分の1を含め、汚染ガスをも吸収する。このようにして、海は気候変動の最悪のシナリオから現在私たちを守っている。さらに、ガスや熱を吸収するだけではなく、海は「吐き出し」てもいる。私たちが吸い込む酸素の半分は、海の表層で育つ植物プランクトンが作っているのだ。」
 ……そうだったんだ。サハラ砂漠からの砂塵がアマゾンの森にミネラルをもたらしているなんて、全然知りませんでした。
 でも、私たちの地球の自然環境を守るために、実際に何を始めたらいいんだろうと考えていたら、次の記述を見つけました。
「壮大な生態系の復元を実現するには、人口抑制よりも私たちの食の生産の効率をさらに大幅にアップし、作物1トン当たりの環境への悪影響を減らすこと、そして、栽培量を減らすべく食事内容を変えることだ。誰もが菜食主義者になる必要はないが、生態系に壊滅的なダメージを与える食肉や乳製品への依存度を大幅に下げるべきだろう。」
 あ、そんな身近な努力でもいいんだ。そうか……まずは個人でも出来る努力、たとえば食品の廃棄を少なくするとか、プラスチックごみを可能な限り減らすとか、冷暖房を弱めにして二酸化炭素の排出を少なくするとか、そういう努力から始めてみよう(節約にもなるし、一石二鳥(笑))。
 美しい地球風景の写真に癒されるだけでなく、いろいろなことを考えさせられる本でした。あなたは何を思うでしょうか。読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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