『「会社四季報」業界地図 2018年版』2017/8/25
東洋経済新報社 (編集)

『会社四季報』の経済記者が、176業界・3960社を取材・図解した『業界地図』の2018年版です。
冒頭の「業界規模&業界トップ3」は、まさに日本の業界縮図。最大の業界は単価が高い不動産で、トップ3は三井不動産、三菱地所、住友不動産だそうです。次が建設でトップ2は大林組、鹿島、清水建設、その次は電機大手でトップ3は日立製作所、ソニー、パナソニック……と続きます。さすがにどれも聞いたことのある大手企業ばかりでしたが……驚いたのは日本の業界7番目が、パチンコ・パチスロだったこと。コンビニエンスストアや食品スーパー、介護や家電量販店よりも大きい産業だったとは! もっとも最近はスマホゲームにおされ気味のようで、郊外のパチンコ店が潰れているのをよく見かけますが……今後はどうなっていくんでしょう? こういう本を毎年買うと、いろんな業界の変遷(栄枯盛衰)が見えて興味深いのかもしれません。
その次の記事は「業界でクッキリ 給与格差」。一番高いのはコンサルティング、次が総合商社、放送と続きます。これも業界ごとに、こんなに給与格差があることに驚きました。まあコンサルティングや商社は、多くの知識や経験が必要になる仕事なので、給与が高いのも納得ですが……やっぱり介護業界は低すぎるような……。
えーと、その次は「注目業界」特集となり、2018年版の「注目業界」としては、「AI」「VR」「ドローン」「ポイント」「東芝」「有機EL・液晶パネル」「欧州」「広告」「eコマース」「陸運・物流」「IoT・ビッグデータ」「フィンテック」「地方銀行」「東京五輪」「ゲーム」「動画配信サービス」「映画・アニメ」「宇宙開発」「カーシェア・ライドシェア」「自動運転」が取り上げられていました。各業界の大手企業の名前(簡単な説明)や関係図の他に、簡単な解説記事があります。ただし解説はすごく簡潔なものなので、特定の業界について詳しく知りたい場合は、他の参考書などを読む必要があると思います。
その後は、各業界の主な企業名(簡単な説明や売上高などの情報)&関係図と、短い解説記事がずっと続きます。取り上げられている業界は次の通りです。
「自動車・機械」「エレクトロニクス機器」「情報通信・印刷・インターネット」「資源・エネルギー・素材」「金融・法人サービス」「食品・農業」「生活用品・嗜好品」「娯楽・エンタメ・メディア」「建設・不動産」「運輸・物流」「流通・外食」「生活・公共サービス」。
最後に「番外編」として「財閥」と「国内宗教団体(新宗教)」も掲載されていました。
このような業界地図があると、日本の産業の概要を短時間でざっくり把握するのに、すごく役に立つと思います。
ビジネスマンの方が各業界の情報を整理するのに役に立つのはもちろんのこと、就職活動中の学生さんたちが自分の進むべき業界を決める(業界状況を知る)のにも役に立つと思います。また、最近TVのニュースを見ると、聞いたことのないカタカナの会社名がどんどん出てきて、時勢についていくのが大変になってきた……と感じている高齢者の方や、長期滞在の海外から日本に帰国したばかりの方にも参考になるのではないでしょうか。読んで(眺めて)みてください。
なお、私が読んだのは2018年版でしたが、この本は毎年改訂版が出るようなので、購入する場合は、その本が最新版かどうかを確かめて下さい。
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この本には、すでに2019年版が出ています。