『大人のフィールド図鑑 自分で探せる 美しい石 図鑑&採集ガイド』2018/3/28
円城寺 守 (著)
身近なところで見られる岩石・鉱物を紹介してくれる本です。
「自分で探せる 美しい石 図鑑&採集ガイド」というタイトルと、美しい石の表紙写真に惹かれて読んでみたのですが……表紙写真の美しい石がごろごろ拾える場所を教えてもらえるわけではありませんでした(笑……当たり前か)。実はそれを、ちょっと期待してしまったのですが……(汗)。
それでも岩石や鉱物についての解説や写真が充実していて、岩石や鉱物図鑑として、とても勉強になる内容でした。目次は次の通りです。
第1章 岩石・鉱物とは(すべての物質のもとになる元素 岩石と鉱物の違い 他)
第2章 岩石図鑑(姿を変え続ける岩石 3つの分類 他)
第3章 鉱物図鑑(鉱物といえるもの 鉱物の分類と特徴 他)
第4章 フィールドワークに出かけよう(石を4次元で見る 岩石・鉱物産地マップ 他)
第5章 採集と標本・観察(事前の情報収集 準備と持ちもの 他)
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さて、「鉱物とは元素の集合体で、何種類かの元素が集まってつくられています。長石という鉱物は、酸素と珪素・カリウム・アルミニウム・ナトリウム・カルシウムが集まってできています(後略)」なのだそうです。そして「岩石はいろいろな鉱物が集まって、結晶した集合体です。」なのだとか。鉱物の化学組成とか、あまり考えたことがなかったけど……鉱物って、元素の集合体だったんだ。
また、「不思議な鉱物」として、蛭石(ひるいし)という「熱すると伸びる鉱物」が紹介されていました。花崗岩の中に入っていることがある鉱物なのだそうですが、なんと「炎などで熱すると、10倍以上の長さにまで伸びます。結晶の層の間に入った水分子が熱せられて水蒸気となるとき、層の間を押し広げるためです。」なのだとか! 「いったん伸びた蛭石は、冷やしてももとには戻りません。」……へー、そんな不思議な鉱物があるんだーと感動していたら、「伸びた蛭石は、軽く、保温性・耐火性・保水性があり、「バーミキュライト」という名前で、土壌改良剤や建築材、使い捨てカイロの原料などに利用されています。」と書いてありました。こんなに不思議なものなのに、意外にありふれたものだったんですね(笑)。
その他、石探しのフィールドワークに参考になる情報(岩石・鉱物産地マップ、準備・採集・整理の方法など)も地図やイラストで紹介されていました(もっとも岩石・鉱物産地マップについては、詳細マップも一部紹介されていましたが、すごく詳細というわけではないので、これだけですぐに採集できる場所に到着することは出来ないように感じましたが……)。
岩石・鉱物採集フィールドワークへの入門書的な本だと思います。岩石・鉱物に興味がある方は、読んでみてください。