『決定版 ビットコイン&ブロックチェーン』2018/4/13
岡田 仁志 (著)

ビットコインとブロックチェーンの仕組の解説とともに、仮想通貨をめぐる世界の最新動向も教えてくれる本です。
本書の三つのポイントは次の通りです。
1.ビットコインとブロックチェーンの仕組みがわかる
2.仮想通貨と電子マネーの違いがわかる
3.いま世界で起きていることがわかる

個人的に特に参考になったのは、「1.ビットコインとブロックチェーンの仕組みがわかる」。これまで仮想通貨関連の本を何冊も読んできましたが、その仕組みの実際の動きが、一番具体的に理解できたように感じました。なぜなら、ビットコインの仕組についての技術的な解説を、「支払→記録→採掘→報酬→承認→発生」という6つのステップを丁寧に追いながら、具体的に行ってくれるので、ビットコインの「支払」などの時に、実際には何が起こっているのかを詳しく知ることが出来たからです。
例えば、アリスがボブに対して1.0BTCの「支払」を行う時は、その送金の事実をネットワークに向けて宣言します(実際にはアリスのコンピュータに入っているウォレットが、ビットコインのP2Pネットワークに向かって、送金の事実があったことを記録として流します)。
すると次に「記録」が発生します。(その事実を受け取ったノードは自分が記録し、自分につながっている仲間のノード(最大で8個)にも流します(ブロードキャスト))
続いて「採掘(送金の事実をかきあつめ、数百から2000件程度の送金トランザクションを束ねて「ブロック」と呼ばれる特殊な記録方式に焼き固めます。ハッシュ関数を使います)」が行われ、それに「報酬」が支払われて、「承認」「流通」していくという流れになるのです。
また「2.仮想通貨と電子マネーの違いがわかる」では、なんとなく「似たもの」のように感じていた「仮想通貨」と「電子マネー」が、実はまったく違う性質のものだということを明確に理解できました。「個人から個人へと送金できる転々流通性という性質が、仮想通貨には備わっていますが、電子マネーにはありません。」なのだそうです。なるほど、確かに……これらは、個人が支払いに使うという意味では同じように使いますが、その機能には大きな違いがあったのですね!
さらに「3.いま世界で起きていることがわかる」では、いま世界では、現金が姿を消すという社会現象が相次いで起こっていることが紹介されます。例えば、中国、アフリカ諸国、スウェーデンなどで現金が姿を消しつつあるようです。
ここでは、ビットコインに起きている変化の動きについても知ることが出来ました。ビットコインに、2017年にセグィットという技法的手法が実装されたそうです。
「これによって、ライトニングネットワークという新しい社会装置が実装されました。(中略)具体的には、ブロックチェーンのお互いの共通口座に資金をデポジットし、その資金を使ってブロックチェーン外で決済をする仕組みです。取引相手が不正を働いた場合には、不正を働いたユーザーの資金が全部没収されるというペナルティの仕組が、巧妙なコントラクトによって実現されています。」
この仕組みによって「チェーンの外でありながら嘘をつけないという設計が正しく動作すれば、あらゆる約束事を実行できるプラットフォームが登場します。」ということが本当に実現するなら、「相手をだますと損をする」という新・経済圏が誕生するのかもしれません。期待してしまいます。
この本は、タイトル『決定版 ビットコイン&ブロックチェーン』にふさわしい充実した内容のものだったと思います(もちろん、ここで紹介した以外にも多くの情報が詰め込まれています)。将来の「お金」の形を考える上ですごく参考になると思うので、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆