『地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である (ブルーバックス)』2024/1/18
月村 勝宏 (著)
地球は、活動し、生きている惑星である。地球を構成するさまざまな物質は、そのかたちを変えながら、長い時間をかけて循環している。それにともなう多様な物質の多様な反応もじつは、熱い物質からは揮発性物質が放出され、冷たい物質には揮発性物質が入り込むという、非常にシンプルな原理で理解することができる……地球の成り立ちそして進化を、分かりやすく解説してくれる地球科学の新しい入門書で、内容は次の通りです。
プロローグ
第1章 太陽系の元素と揮発性物質
第2章 太陽系惑星と原始の地球
第3章 地球の物質循環
第4章 ゆっくり変化した地球
第5章 物質循環の中の生命の誕生
第6章 二酸化炭素と大陸地殻
第7章 粘土:冷たい環境でできた物質
第8章 親銅元素とウランの循環
第9章 熱機関である地球
エピローグ
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「第9章 熱機関である地球」に、本書のまとめとなる文章があったので、まずそれを紹介します。
「熱い場所や冷たい場所で起きている重要な反応には、かならず揮発性物質がかかわっています。それらの反応は、温度が高いと鉱物から揮発性物質が吐き出される方向に反応が進み、温度が低いと揮発性物質が鉱物に入るという規則性があります。」
……地球はそのように熱機関として動いている惑星だから、他の惑星と違う状態になっているそうです。
「地球と他の惑星の本質的な違いを、一言で表してみましょう。それは「地球は熱機関として機能していたが、地球以外の惑星は熱機関として機能していなかった」ということです。つまり、地球だけが、熱エネルギーを運動エネルギーや化学エネルギーに変換することができる熱機関として機能していたのです。木星型惑星や天王星型惑星はそもそも十分な熱源がないので熱機関として機能しませんでした。地球以外の地球型惑星には熱源がありましたが、その熱源を運動エネルギーや化学エネルギーに変換できなかったので熱機関として機能しませんでした。そうして地球は生きている惑星となり、地球以外の惑星は死んだ惑星となったのです。」
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各章の扉には、その章の内容が簡潔に箇条書きでまとめてあるので、それを最初に読んでから内容に入ると、より理解しやすいと思います。例えば、第1章の場合は……
「第1章 太陽系の元素と揮発性物質」
・物質は118の元素でできており、地球科学では、親気元素、親石元素、親鉄元素、親銅元素に分けられる
・物質循環に重要な役割を果たすのは、水、二酸化炭素、メタン、二酸化イオウ、硫化水素などの揮発性物質。なかでも、最も重要なものは「水」である。
・地球の重要な反応の多くは、鉱物における「水」の出入りで説明できる。
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この本では、今まで知識として知っていた言葉「マントルの対流」、「プレートテクトニクスによる大陸地殻の移動」などについて、それが実際にはどんな変化なのかを具体的に教えてくれて、とても勉強になりました☆
マントルの対流、大陸地殻の成長と循環、二酸化炭素の循環は、「揮発性物質の出入りによって、さまざまな物質に変化しながらおこなわれている」んですね!
なかでも最も重要な揮発性物質である「水」は、この地球熱機関で次のような役割を果たしています。
「地球に多量にある「水」はマントルの粘性を低くし、熱対流を生んだ。そして、マントルの熱対流が、地球の物質を循環させている。」
……そしてこの本では、水がどうやってマントルの粘性を低くしているかについても、次のように解説してくれるのです。
「(前略)マントルの粘性を高めているのは、主に、酸素-ケイ素-酸素-ケイ素-酸素-と線状につながっている原子の配列です。ケイ素と酸素の結合は非常に強く、なかなか切れません。しかし、ここに水があると加水分解して、この結合が切れ、粘性が低くなるのです。」
……なるほど。そして……
「(前略)地表にある水は、さまざまな物質を溶かして移動させたり、物質の反応を促進させたりしています。このような反応を加速させるという水の性質が、生物を生み、鉱物資源を濃集させ、陸地をつくるのに重要な役割を果たしました。」
……マントルも大陸も海洋底も、「水」や「二酸化炭素」などを出し入れして、さまざまな物質に変化しながら循環しているのです。
「地球の物質は循環しているからこそ、暑い場所や冷たい場所に移動し、それぞれの場所で安定になるように化学反応をしながら、46億年かけて地球は姿を変えてきた。」
……この意味を本当にじっくり解説してくれた『地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である』……とても勉強になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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