『Q&Aでわかる! デジタル遺産の相続』2021/2/8
笹川 豪介 (著), 関原 秀行 (著), 冨田 雄介 (著), 関口 彰正 (著)
自分や家族が死んだとき、デジタル資産がどのように相続されるのかについて、1)デジタル遺産の相続とは何か、2)サービスごとの相続手続、3)デジタル遺産の相続に備えて何ができるのかを、Q&A形式でわかりやすく解説してくれる本です。
「デジタル遺産の相続とは、相続開始時点に存在する、データやデータを保存している媒体といったデジタル遺産についての相続を指します。デジタル遺産以外の遺産の相続と手続き等が異なることがあるため、デジタル遺産の相続については特に注意する必要があります。」なのだとか。
全体としては、「デジタル遺産の相続も、普通の相続と基本的には同じ」ようです。
例えば、ネット銀行、ネット証券に預けてある資産(FX取引も含む)は、もちろん相続対象になります。ただしネット銀行などの場合、通帳がないことが多いので、ネット銀行・証券のものを見落とさないよう注意する必要がありますが……。
SuicaなどのICチャージ式電子マネーは一般的に相続対象。LINE Payなどの電子マネーは、規約などにもよりますが相続対象になると思われるのだとか。
また暗号資産も相続対象。ただし暗号資産の場合、相続人がパスワードを把握していなくても相続税の対象になる可能性が高いので、相続人は注意が必要だそうです。
またサーバーに存在するものや、SNSアカウント、ポイントなどは、運営者の契約や規約に基づき承継の可否・内容を判断する必要があるようです(承継されないことが多いようです)。
そして電話サービス、インターネット接続サービスなどは、個人の契約を承継することになるので、契約の「承継」や「解約」手続きが必要なのだとか。
ちょっと怖いなと思ったのが、「パソコン内に保存した見られたくないもの」や「認知症になった人のデジタル資産」。見られたくないものについては、第三者に削除を委託することは出来るようですが、実際には相続人の目にふれないようにすることは困難だそうです。また認知症の方のデジタル資産の取り扱いも困難になるので、ご家族の方は、認知症が進行する前にデジタル資産をどうするか話し合っておいた方がいいそうです。
もちろんこの他にも、著作権や遺言など、たくさんの情報が掲載されています。
デジタル遺産の相続について、QA形式で分かりやすく概説してくれる本でした。ただしデジタル遺産相続に関しては、取り扱いが確定しているわけではないし、今後変更される可能性もあるので、実際に相続する場合には、「その時点で有効となる方法を確認」する必要があると思います。ごく普通の人も、デジタル資産をたくさん保有し始めているので、デジタル資産の相続に関しては、明確になっていくことを願っています。この本にも、次のように書いてありました。
「(前略)デジタル遺産については、重要性が高まっているにもかかわらず、相続対策が積極的に行われていません。一方で、法律的な解釈が明確ではないため争いが起こる懸念が高いといえます。また、そもそも相続については、困る状況が起きやすいからこそ、対策が重要なのであり、これを放置すべきではないことから、十分な対策を講じるべきものと考えられます。」
本当にそう思います……。
現在のデジタル遺産相続についてQA形式で概説してくれる本でした。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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