『オールカラー図解 日本列島の未来』2021/1/12
中島 淳一 (著)
日本列島の成り立ちと日本列島の未来を解説してくれる本です。
オールカラーの図版を多数使って、過去に起こった日本列島の変化などを詳しく解説しています。日本列島の地図で、プレートの位置や地震発生地帯などを目で見て確認しながら解説を読むことが出来るので、内容がとてもよく理解できました。
内容は、まずプレートとは何か、日本列島はどのような環境にあるのかを解説し、次になぜ地震が起こるのかを紹介したうえで、過去に日本列島周辺で発生した地震被害・過去の火山災害を振り返っています。そして、最後には、遠未来の日本列島が経験するであろう3つの「事件」を予測……と、日本列島の誕生から終焉までを概観している本です。
日本列島の成り立ちや、過去に起こった地震や火山災害の概説もとても参考になるのですが、やはりなんといっても興味津々だったのは、『日本列島の未来』。日本列島の地形的特性や、過去の災害の履歴などから、次のように予測されていました(ここでは概要のみを紹介していますが、本書内ではもちろんもっと詳しく説明されています)。
まず巨大地震の発生についてですが、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い地域は、関東から四国にかけての太平洋沿岸。多くの地域で26%以上の確率」だそうです。
また「数万年スケールではカルデラ噴火が発生することは間違いありません」、「カルデラ噴火では、大規模な降灰でライフラインや交通などが壊滅的被害。ほぼ全国で生活機能が麻痺し、1億人を超える被災者の救援活動は絶望的状況」なのだとか。
そして、遠未来の日本列島が経験するであろう3つの「事件」とは、次のものです。
1)約50万年後に「九州の分裂」(別府-島原地溝帯では、陸地が南北方向に離れる動き。このまま沖縄トラフの拡大が続くと、約50万年後には九州が南北に分断されると考えられている)
2)約1500万年後のシャツキー海台の衝突による「日本崩壊」
3)新しい超大陸(アメイジア)の形成にともなう「日本消滅」(約5000万年後。なお、2億5000万年後までに、現在のユーラシア、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ大陸が北半球に集まり、超大陸(アメイジア)が形成されると考えられています。)
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……日本列島には、大変な未来が待ち受けているんですね……遠い未来ではありますが……近未来に、カルデラ噴火が起きないことを祈りたいと思います……。
もっとも、すごく遠い未来には、日本どころか地球すらも消滅してしまいます。この本にも、次のように書いてありました。
「約50億年後には太陽が膨張して巨大化し、赤色巨星へと変わりはじめます。そこでは地球をはじめとする近くの惑星はすべて太陽に飲み込まれてしまいます。太陽系消滅です。」
日本列島の成り立ちから未来まで、豊富な図版で分かりやすく解説してくれる本でした。とても参考になるので、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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