『レンズくんと行く工場ツアー すごい! 品質検査』2020/7/18
うえたに夫婦 (著)
マンガでめぐるマニアックな工場見学です。工場ツアーのハイライト、品質検査をイラスト(マンガ)でじっくり見ることが出来ます。見学対象の工場(内容)は以下の通りです。
北星鉛筆(鉛筆)
造幣局(お金(硬貨))
アサヒグループ(缶ビール、カルピス、炭酸飲料)
シヤチハタ(ネーム印)
カリモク家具(ソファ)
資生堂(日やけ止め、口紅)
シグマ(デジタルカメラ)
工場見学は魅力的だけど、見学に行くための移動や予約がちょっと面倒……という人にとっては、とても嬉しい本だと思います(笑)。
「品質検査」は、製品製造の最終工程のだけを見学できるのかと思っていましたが、製造途中に行われているものも含めて見学できるので、これを見るだけで、その製品の製造工程のほぼ全部が分かってしまったような気もします。
例えば「北星鉛筆(鉛筆)」では、材料の受け入れ時の検査から、みぞ加工、芯のセット、プレスなど、工程ごとにさまざまな検査が入っています。次の工程に移る前に検査して、OKのものだけを進ませる方が、大量生産での製造のムダも少なくなりますよね。鉛筆製造には、いろんな工程や道具があることを詳しく知ることが出来ました。
その他にも「缶ビールの缶詰のしくみ」とか、「カリモクのウレタン製造のしくみ」とか、「シャチハタのインキを吸い上げるゴムシートの作り方」とか、興味深い話がいっぱい。ちなみに「シャチハタのゴムシート」は、合成ゴムに塩を混ぜ込んでシート状にした後、お湯に一晩入れて塩を溶かし出す(脱塩)ことで、無数の細かい穴があるスポンジを作り、インキを吸い上げることを可能にしているそうです(へー、そうなんだー)。
また「アサヒグループ」では、品質検査用の測定機器も検査しているそうです。確かに……測定機器も経年変化でズレが起こるものですよね。だから定期的に校正、部品の取替をするのだとか。
「資生堂」では、日やけ止めにわざと菌を混入させてそれが死滅することを調べる(防腐力検査)とか、製品を専用のボックスに入れて耐衝撃検査をしているそうですが、これは購入者が製品を使うときに、肌にいる菌が製品に入ることとか、日焼け止めをカバンに入れて持ち運ぶこととか、実際に使われる状況までを考えて検査しているようです。そして口紅は、出荷後も半年後、一年後と五年後まで品質に変化がないかを検査しているとか。……うーん、さすがですね!
その他、「造幣局(お金(硬貨))」、「カリモク家具(ソファ)」、「シグマ(デジタルカメラ)」でも、とても興味深い情報をたくさん知ることができました。
モノづくりが好きな人にとっては、興味津々な内容が盛りだくさんです。ほぼ漫画やイラストばかりなので、とても気軽に読めると思います。ぜひ眺めてみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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