『世界で一番やさしい建築構法 最新改訂版』2020/9/17
大野 隆司 (著), 瀬川康秀 (監修)
建築構法の基礎から応用まで幅広く身に付くロングセラーの入門書(110のキーワードの解説)。関連法規の改正や新しい材料の情報などを追加した増補改訂版で、内容は次の通りです。
1章:構法・工法とは何か
(構法概論:用語、柱・梁による架構、工法の原理 他)
2章:木造の構法
(木造:構造材としての木、在来軸組構法、2×4構法、その他の木造構法 他)
3章:非木造の構法
(鉄骨造:鋼材の構造特性、鋼材の接合、鉄骨造ラーメン、その他の鉄骨造 他)
(RC造:コンクリートの構造特性、鉄筋、施工の方法 他)
(その他の構造:SRC造、組積造、地盤・基礎、山留め・杭、地下室 他)
4章:水平部位の構法
(勾配屋根、陸屋根、床、階段、天井)
5章:鉛直部位の構法
(壁:種類と性能、壁の構成、左官壁、板張り 他)
(開口部:種類と構成、開閉方式、防火性・断熱性 他)
6章:構法・工法を生み出すもの
(構法と設備、構法と法規、施工性・生産性 他)
建築工法の基礎から応用まで、イラストを使って分かりやすく教えてくれる図鑑のような本で、工作好き人間としては、いろんな仕組みを詳しく知ることができて、わくわくさせられました。
例えば、「木の特質とその利用」という項目では、「乾燥収縮への対応」として次のようなことが書いてあります(一部のみ抜粋紹介)。
「木材は、含水率数十%を超える立木から、構造材として実際に使用できる、安定した気乾含水率数十%に至るまでには、繊維と直交方向では相当程度に収縮するため、大きな引張力によりひび割れが生じる。そこで柱が露出する真壁造では、柱の壁に隠れる部分にあらかじめ鋸目を入れておき、収縮変形をその部分に集中させて、表には見せない工夫「背割り」を行う。」
……隠れた部分に巧みに工夫を入れてあるんですね。この他にも「吸い付き桟」、「はしばみ」、「稲子」などの工夫について、イラストを使った解説がありました。
この本一冊をじっくり読むだけでも、建設工法について、かなり総合的に学べた感じがします。巻末には索引もあるので、用語集としても活用できると思います。
建築の仕事をしている方はもちろんのこと、自宅の新築や改築を考えている人、さらには工作好きの人にとって、参考になる情報が満載の本だと思います。ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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