『銀河: 宇宙140億光年のかなた』2015/7/16
ジェームズ ギーチ (著), James Geach (原著), 糸川 洋 (翻訳)
観測の最先端で活躍する天文学者のギーチさんが、望遠鏡のしくみから、遠い銀河で何が起こっているのかについて、美しい天文写真とともに分かりやすく解説してくれる本です。
ギーチさんがこの本で伝えたいことは二つあり、一つは宇宙には多くの異なる「型」の銀河があること、もう一つは、その銀河が常に同じ形で存在していたわけではないこと、だそうです。
銀河にはさまざまな型があり、その一つはおなじみの「渦巻銀河」。その中には「棒渦巻銀河」「羊毛状渦巻銀河」など、さまざまなバリエーションがあります。また古い銀河に多い型は「楕円銀河」だとか。
この本では、これらの銀河を美しい高精細天文写真で見ることができます。一枚の写真の中にいくつもの銀河が映っている写真を見ると、暗い夜空はたくさんの銀河で満ちているんだなーと実感できて、感動してしまいました☆
このように遠い銀河を写真で見ることが出来るようになったのは、近年の望遠鏡などの技術力が飛躍的に向上しているからだそうで、望遠鏡や天文学の歴史も紹介されています。
また可視光画像では黒くしか見えない「暗黒雲」。星雲内の雲が背後の光を通さないので、可視光画像ではまっ黒に見えるのですが、近赤外光で撮影すると、なんと雲を通した背後の光を見ることができるそうです(!)。実際に、天の川銀河内のバーナード68という暗黒雲の「可視光」「近赤外光」で撮影した比較写真を見ることが出来ました。
この本の中では、ハッブル宇宙望遠鏡をはじめ、ALMA、XMMニュートン衛星、チャンドラX線衛星、プランク衛星、GALEX紫外線探査衛星、WISE広域赤外線探査衛星など、さまざまな角度から追跡した光を、最新の撮影技術と画像処理を駆使して再現した驚異の宇宙画像でたくさん見ることが出来ます。価格は少し高めですが(汗)、この美しい写真だけでも、それだけの価値があるような気がします。なんと、重力によって引き寄せられている二つの銀河の写真も見ることができるんです☆ 銀河同士の衝突というのは、それほど珍しい現象ではないとか……。
天文学の分野では、いままさに、技術進化のおかげで、さまざまな現象がどんどん解明されている状況だそうです。遠い銀河が分かったからといって、自分の生活が変わるわけではありませんが、なんだかロマンをかきたてられますね☆
* * *
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
<Amazon商品リンク>