『メタバースイベント作成入門 clusterイベント開催とワールド・アイテムの作り方』2024/3/21
vins (著)
clusterを利用して、メタバースイベントを作成・開催するノウハウを解説してくれる本で、主な内容は次の通りです(なおclusterとは、クラスター社が提供するメタバース環境で、イベントや会議の開催機能、多様なワールドの作成機能が用意され、個人はもちろん企業のイベントでも近年利用されています)。
CHAPTER1 clusterとメタバースイベント
CHAPTER2 イベントの基本
CHAPTER3 勉強会系・エンタメ系イベントの開き方
CHAPTER4 音楽系イベントの基本
CHAPTER5 発展的な音楽系イベント
CHAPTER6 アバターで行う劇イベント
CHAPTER7 イベント向けワールドやアイテムの基本
CHAPTER8 より進んだイベント向けワールド
メタバースのclusterには、「顔をださずに」、「好きなアバター(3Dキャラクター)で」、「出演者やお客さんが遠くにいても」、「無料で」、「PCでもスマホでもVRでも見られる」「色々なワールドの中での」イベントを行うことができるという素敵な特徴があるそうです。
実を言うとclusterは使ったことがありませんでしたが、「CHAPTER1 clusterとメタバースイベント」によると、「まず今のclusterで新しいイベントを発見しにいく」のが手っ取り早く知る方法のようです。「clusterのページでログインして、イベント一覧を見て、「気になる」ボタンを押しておき、当日見に行きましょう。」と書いてありました。
とても良いと思ったのは……
「今のclusterは最初に起動すると「clusterツアー」という初心者向けのチュートリアル(実際に動かしながら行う説明)があるため、初心者の方でもすぐに操作できるようになっています。」
……ということ。
そしてこのチュートリアルを受ける前に、知っておいたほうがよい基本用語の一例を紹介すると次のようなもの(本書には、もっと詳しい解説があります)。
・アバター:あなたの分身となる3Dキャラクター
・ワールド:アバターを動かすことができる3Dの空間。クラスター社やユーザーによって作られている
・イベント:ワールド、またはクラスター社によってつくられた一部のイベント会場をつかって勉強会、音楽、劇、お笑い(エンタメ)などのイベントを開くというもの
・Vポイント:clusterのイベントでは、「クラスターコイン(有料)」をつかって「Vアイテムを」イベント主催者に投げることができる。そうすると主催者に「Vポイント」が溜まり、一定額以上になると現金として受け取れる
・ホーム:clusterユーザーにとって「家」のようなもので、通常ユーザー本人しかいない。「ロビー」など人が多くいる場所に行く前に、ここで操作の練習を行える
・ロビー:cluster公式が運営する、ユーザーが交流するためのワールド。初心者はまずここでclusterの交流のイメージをつかむとよい
・アクセサリー:アバターにメガネや帽子をつけたり、剣や楽器を持たせられる
・トラベラー・ビギナー・ミッション・クラスターポイント:初心者システム。clusterに登録したユーザーはまず「トラベラー」となり、「フレンドを1人つくろう」「ワールドに遊びに行ってみよう」のようなミッションを行うことで「ビギナー」にランクアップできる。ミッションを達成すると「クラスターポイント」がもらえ、アクセサリーなどと交換可能
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「ホーム」や「トラベラー・ビギナー・ミッション・クラスターポイント」などの、初心者に優しい仕組みがあるのが、ありがたいですね!
そしてclusterイベントの魅力と強みとしては……
・リアルで集まらなくてもよい
・顔を出さなくてよい(アバターで登場できる)
・集客力がある
・多くの人を相手にしている実感を得られる(clusterのイベントでは、実際にそこに何十人というアバターが見える)
・収益化もカンタン(Vポイント)
……などがあるそうです。収益化する方法もあるんですね。
続く「CHAPTER2 イベントの基本」では、実際にイベントをつくったり、イベント内で操作したりする方法を教えてもらえます。
イベントを作るためには「イベントをひらく」をクリックして始めるのですが、この時点でいきなりイベントが開始するわけではなく、「下書きを作成」→「開始時刻などを設定」という感じで進んでいくそうです。はじめてのイベントは、最初から用意してある「カンファレンスホール」や「レクチャーホール」あたりでやるのが無難なのだとか。
またclusterには「スクリーン」が置いてあるワールドやイベントがあり、事前にデータをアップロードしておけば、それに画像・動画やPDFファイルを表示できるそうです。
さらにサムネイル作りには、無料ソフトのKritaなどを使うとか、アバター作成ソフトのRoid Studioや、カメラマンモードなどでイベントを撮影するときに使う無料ソフトのOBS Studioなどの解説もありました。
そしてCHAPTER3からは、色々なタイプのイベントの開き方が紹介されていきます。最も開きやすいのは「CHAPTER3 勉強会系・エンタメ系イベントの開き方」のようです。
続いて「CHAPTER4 音楽系イベントの基本」。2人以上のものは上級者向けなので、最初は1人で歌ったり演奏したりするのが良いようで、歌番組のように多くの人が順番に歌うとか、同じ出演者がステージ上で歌うなどのイベントが行われているようです。
さらに「CHAPTER5 発展的な音楽系イベント」、「CHAPTER6 アバターで行う劇イベント」と続きます。
また、イベントの作り方や開き方だけではなく、トラブルへの対処の仕方も書いてありました。
例えば、迷惑ユーザーへの対処法としては、どんな点が迷惑で、どうして欲しいのかを「丁寧に論理的にちゃんと1回説明した」上で、「それで聞かなければすぐにイベント追放」するという方法が紹介されていました。
そして「CHAPTER7 イベント向けワールドやアイテムの基本」では、Unityを使って、イベントのためのワールドやクラフトアイテム・アクセサリーを実際に作る方法の説明、さらに「CHAPTER8 より進んだイベント向けワールド」などの、より高度な解説もあります。
メタバースというと、実用化されるのは、もう少し先のような気がしていましたが……このclusterを利用すると、メタバースへの理解を実践的に深めていけるだけでなく、いろんな可能性を楽しく試せそうですね☆
『メタバースイベント作成入門 clusterイベント開催とワールド・アイテムの作り方』を教えてくれる本でした。メタバースに興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
なお、この本には姉妹編の『メタバースワールド作成入門 clusterで作る仮想世界・イベント空間(2023/1/23)』もあるので、実際にイベントを作る場合は、こちらも参考にするといいと思います。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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