『大学図書館司書が教える AI時代の調べ方の教科書 (【BOW BOOKS 027】)』2024/8/9
中崎倫子 (著), 発行元:BOW&PARTNERS (その他), & 1 その他

「生成AIを誰もが使う時代だからこそ、「正しい情報の探し方」をあらためて学びたい」……レファレンス・ガイダンスのプロが、インターネット&AI時代の調べ方を総合的に教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 情報収集をする前に
第1章まとめ
第1章ブックリスト
第2章 情報の集め方
第2章まとめ
第2章ブックリスト
第3章 図書館を使いこなす
第3章のまとめ
第3章ブックリスト
第4章 情報を吟味する
第4章まとめ
第4章ブックリスト
第5章 情報のまとめ方
第5章まとめ
第5章ブックリスト
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「調べ方」についてテーマごとに解説してくれるとともに、各章ごとに終わりのページに「まとめ」があり、さらに深く学びたい人のための参考図書の「ブックリスト」もついています。
 なおタイトルには「AI時代の調べ方の教科書」とありますが、生成AIなどを使っての情報の探し方の解説は特になかったと思います。そういう意味では、ごく普通の「図書館の他、インターネットも利用した情報の探し方・調べ方」を教えてくれる本だと思います。
 さて、「第1章 情報収集をする前に」では、「情報収集する前に調査の計画を立てる」ことが大切だということのほか、次のようなことも書いてありました。
・情報収集をするときには、仮の結論(仮説)から必要な情報を割り出す
・文章の型を使って探す情報を言語化する
・探す情報を言語化できたら、単語レベルに分解し、情報収集のテーマとなる言葉(キーワード)を探す)
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 続く「第2章 情報の集め方」では、まず、リサーチ・ナビ(国立国会図書館)とWikipediaで、探す資料にあたりをつけると良いそうです。
 そして「資料の種類によって探し方が異なる」ということで、各資料を調べやすいデータベースの紹介もありました。その一部を紹介すると次のような感じです。
・本(参考図書、図書):
蔵書検索(OPAC)、
出版書誌データベースBook、
Google Book Search、
日本の古書屋 など
・雑誌記事:
国立国会図書館サーチ、
有料データベース(MagazinePlus、ざっさくプラス、Web OYA-bunko)など
・論文:
CiNii Research、
Google Scholar など
・特定分野:
法学(D1-Law.com:有料)、
科学技術系&医学(JDreamIII:有料)、
医学(医中誌Web:有料)、
企業情報(eol、EDINET、日経テレコン)、
政府の公開情報(e-Gov)、
政府統計データ(e-Stat)など
・新聞記事:
朝日新聞クロスリサーチ、
日経テレコン(日本経済新聞)、
ヨミダス(読売新聞)、
毎索(毎日新聞) など
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「第3章 図書館を使いこなす」では、「調べ方を調べることが出来る図書館のサービス」として、リサーチ・ナビやパスファインダーを利用することや、図書館での調査事例を見ることができる「レファレンス協同データベース」や、東京都立図書館のレファレンス事例検索などが紹介されていました。
 さらに「第4章 情報を吟味する」では、情報の探し方だけでなく、情報の信頼性の見極め方まで解説されていました。
 例えば「情報の信頼性の見極め方(基本編)」では、次の5つの基準が示されています。
基準1 情報の加工度(一次情報が望ましい)
基準2 原著との比較
基準3 参考文献リスト
基準4 ロジックの正しさ
基準5 他の情報との比較
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 この他にも、次のような解説がありました(ごく一部の抜粋紹介です)。
・結論だけでなく、結論に至るまでの論証プロセスを吟味する
・事実を調査するときには、複数の情報源をチェックする
・統計データを見るときは、全数調査か標本調査かに注意する
・標本調査は、母集団とサンプルサイズに注目する
・統計の数字を見るときはグラフも見る
・医療情報を見るときには、どのようなエビデンスに基づいて結論が導かれているかを確認する
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「第5章 情報のまとめ方」で意外だったのは、「情報は整理しない」と書いてあったことでしたが……これは「検索できる状態でストックしておく」という意味で、Google Keepなどを使うと良いそうです。なるほど、「情報の整理」にはすごく時間がかかるので、この方が合理的ですね!
『大学図書館司書が教える AI時代の調べ方の教科書』……インターネットのおかげで情報収集作業は昔よりずっと簡単になったのに、莫大な量の情報から質の高い情報を得ることは、いっそう困難になっている現在、必要な情報をどうやって探すのか、その情報は正しいのか、そもそも何を探せばいいのか……について、総合的に解説してくれる本でした。
「情報収集の基本的な技法や情報リテラシー」を身につけたいと思っている方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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