『別冊 最新予測 巨大地震の脅威 (Newton別冊)』2024/1/13
ニュートンプレス (その他)

 地震の基礎知識だけでなく、日本全国の危険な活断層や各地の地震発生確率、世界の巨大地震とプレートとの関係などを解説してくれる本で、内容は次の通りです。
プロローグ 写真で見る地震の被害
1 地震の基礎知識
2 東日本大震災の真相
3 南海トラフ巨大地震
4 首都圏巨大地震
5 巨大地震に備える
6 日本の火山と富士山噴火
(なお、この本は令和6年能登半島地震の発災前に編集されたものです。)
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「プロローグ 写真で見る地震の被害」では、東北地方太平洋沖地震(2011年)、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)、福島県沖地震(2022年)、モロッコ地震(2023年9月)、アフガニスタン地震(2023年10月)のリアルな写真を見ることができました。
 最初の東北地方太平洋沖地震の津波で、瓦礫と共に荒波に押し流される何台もの車の写真に絶句……いま見ても本当に凄まじい地震ですね……。この後の記事で、東北地方太平洋沖地震のM9というものが、歴史的にいかにまれな超巨大地震だったのかも痛感させられました。
 震度7の地震に2度も襲われた熊本地震の写真も……大きな地震の後に、さらに大きな地震があるなんて本当にショックでした……。この熊本地震はM6.5とM7.3でしたが、「震源が浅く近かったために大きく揺れた」そうです。
 そして北海道胆振東部地震では、凄まじい土砂崩れの写真がいくつも……。日本がいかに地震国かがよく分かります。
 そして「4 首都圏巨大地震」では、今後、確実におきる関東地震について、いろいろと知ることが出来ました。次のように書いてありました。
・「1923年の関東大震災から100年が経過しました。その間に首都圏は、より人口が密集し、経済活動の集積化も顕著です。そのような首都圏で、今後30年以内にM7級の大きな地震が発生する確率は70%程度といわれています。そのときにあわてない備えが必要です。」
・「(前略)海岸段丘の段差がつくられた年代などから、関東地震はおよそ180~590年間隔でくりかえし発生してきたと推測されています。関東地震は、また必ずやってくるのです。」
・「過去の地震の履歴を調べると、M8級の関東地震の間には、M7級の首都直下地震が複数回発生しています。たとえば、1703年の元禄関東地震から1923年の大正関東地震(関東大震災)の間の約220年間には、M7級の首都直下地震が9回発生したことがわかっています。大正関東地震から現在までの99年間に発生したM7級の首都直下地震は、1930年の北伊豆地震と1987年の千葉県東方沖地震(M6.5)の2回だけです。このため、政府はM7級の首都直下地震の発生を、とくに警戒しているのです。」
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 東京を中心とする首都圏(関東1都6県)には、日本の総人口の3分の1をこえる人が住んでいるそうです。
 M8級の関東地震が発生すると、東京湾の奥にも高さ2~3メートル程度の津波が押しよせると予測されてもいるようなので、大きな揺れや津波、さらに長期的インフラ停止(電気、ガス、水道)、交通障害などに備えるよう、耐震対策や防災備蓄を心がけるべきでしょう。
 また、とても興味津々だったのが「6 日本の火山と富士山噴火」の「なぜ近畿・四国・中国地方には活火山が少ないのか?」。次のように書いてありました。
「近畿・四国・中国地方の火山の少なさの秘密は、沈みこむフィリピン海プレートの温度にあります。南海トラフで沈み込むフィリピン海プレートの温度は、琉球海溝で沈みこむフィリピン海プレートよりも200℃ほど高いのです。
 プレートは、温度が低いほど密度が高くて重いため、深い角度で沈みこみます。一方、温度が高いほど密度が低くて軽いため、浅い角度で沈みこみます。琉球海溝のような冷たい海洋プレートの沈みこみ帯では、通常地下100~150キロメートルあたりで、プレートに含まれる水がしぼり出されます。これがマントルを部分的にとかし、それがマグマとなって地上から出ると火山になります。
 しかし、南海トラフのような浅い沈みこみ帯では、水が地下60~70キロメートルの浅い領域でしぼり出されます。この深さで水がしぼり出されても、温度が低いためマントルがとけずマグマはできません。そのため火山ができないのです。ただし、しぼり出された水の温度は数百℃近くあり、それが断層を伝って上昇すると、火山がないのに温泉としてわきだすことがあります。兵庫県の有馬温泉や宝塚温泉などはこれにあたります。」
 ……へえー、そうだったんだ……。
『別冊 最新予測 巨大地震の脅威 (Newton別冊)』。科学雑誌Newtonらしい大きな写真や詳細なイラストで、とても迫力がありました。家族で地震や防災を学ぶときにも役に立つと思います。ここで紹介した以外にも、「1 地震の基礎知識」、「2 東日本大震災の真相」、「3 南海トラフ巨大地震」、「5 巨大地震に備える」など、知っておくべき情報が満載です。ぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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