『最新科学で発見された 正しい寿命の延ばし方』2024/2/9
今井 伸二郎 (著)
健康で活力あふれる老後を手に入れるための方法や、寿命に関する食の最新科学、さらに花粉症などのアレルギー、うつ病や認知症などの脳神経疾患の予防に有効な食品についても解説してくれる本です。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「(前略)食による長寿が可能と考えられるきっかけとなったのは、2000年にマサチューセッツ工科大学の研究グループがサーチュインとよばれる物質を活性化させただけで寿命が伸びることを発表し、大きな話題となった研究からです。タンパク質には、機能を制御する役割としてアセチル基という化学物質が修飾しています。このアセチル基がタンパク質に結合していると、そのタンパク質はあまり機能しない状態になってしまいます。しかし、そこにサーチュインの酵素が働くとアセチル基が外れるため、その結果タンパク質が機能を復活し、細胞も元気を取り戻し細胞分裂も活発になります。(中略)
サーチュインが活性化すると、テロメアの長さが長くなり、細胞の寿命が長くなることが科学的に証明されています。」
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そして「第1章 老化を遅らせる遺伝子の機能について」では……
「科学的には、寿命はテロメアとよばれる真核生物の染色体の末端部にある構造の長さによって規定されています。(中略)テロメアの長さが短くなると、老化以外にも、がんや動脈硬化といったさまざまな病気にかかりやすくなります。
最近になってテロメアの長さは生活習慣を見直すことで復活する可能性が見えてきました。」
……具体的には、有酸素運動をすることや、サーチュインの活性化を促す機能のある食品を摂ることで、老化を遅らせられる可能性があるようです。サーチュインの活性化を促す食品としては、ザクロジュースや食用菊、カカオ、ライムギ全粒粉などが紹介されていました(本文中に詳しい説明があります)。
「第2章 アレルギーに対する機能性食品のありかた」では、加工性食品(添加物)を摂りすぎないようにすることや、果物、緑黄色野菜、オメガ3脂肪酸、青大豆を摂ることなどが推奨されていました。
そして「第3章 健康食品の実態と効果的な機能性食品」では、「かなり多くの健康食品で標榜している効果は、必ずしも正しくない」ことや、「健康食品は有効性よりも安全性が大切」なことの他、アルツハイマー病型認知症の予防の仕方なども解説されていました。
アルツハイマー型認知症予防には、食事や有酸素運動、知的活動が効果的で、食品としては、茶(カテキン・テアニン)、青大豆、青魚(オメガ3脂肪酸)、肉類(コエンザイムQ10)、甲殻類(アスタキサンチン)がいいようです。
『最新科学で発見された 正しい寿命の延ばし方』……健康寿命を延ばす方法、アレルギーや機能性食品との付き合い方などについて、具体的・科学的に解説してくれる本で、参考になりました。
個人的には「薬や機能性食品」があまり好きではないこともあり、健康なうちはとにかく必要な栄養素を「食品」から摂取したいと思っています。この本で推奨されていた食品は、栄養学の本でも「体に良い」とされていたものが多かったので、今後もそういう食品を選んでいきたいと思っています。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
また厚生労働省が「健康食品の正しい利用法」をPDF配信しているようで、これも参考になりそうです。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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