『住宅・不動産で知りたいことが全部わかる本』2023/8/3
田村 誠邦 (著), 甲田 珠子 (著)
住宅企画営業、不動産コンサル・仲介・投資家・オーナー、建築士、宅建士、施工者、金融機関、税理士……住宅のプロにとって必要な専門知識や最新の市場動向、裏技までを図解で説明してくれる本で、主な内容は次の通りです。
1 住宅市場のキホン 2023-2024
2 住宅の土地と売買のキホン 2023-2024
3 住宅建築のキホン 2023-2024
4 住宅企画の最新動向 2023-2024
5 住宅のお金のキホン 2023-2024
6 中古住宅とリフォーム・リノベーション 2023-2024
7 知っ得! 住宅と相続税 2023-2024
8 必見! 住宅づくりの裏技 2023-2024
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『住宅・不動産で知りたいことが全部わかる本』というタイトルだったので、一般向けの本だと思ったのですが、どちらかというと住宅業界関係者向けの、プロに必要な情報が網羅されていたような気がします。そういう意味では、一般人はここまでは知らなくてもいいかなーという法律知識なども含まれていましたが、「住宅」は一般人にとって、生涯で最も高い買い物になるものなので、一通り読んでも無駄にはならないと思います。
章タイトルに「2023-2024」とついているように、この本は「2023-2024」に使うための本のようで、本のタイトルにも「2023-2024」をつけて欲しかったなと思いました(今後、毎年最新版が出る予定なのかもしれません。本書を購入するときには、その時点の最新版かどうかを確認する必要がありそうです。)
さて、巻頭には、「巻頭企画」として住宅関連の最新動向についての、次の3つのインタビューや解説記事がありました。
・巻頭企画1:省エネというキーワードで住宅市場の動向を読み解く!
-再生エネルギーを軸とした建築業界の世界的な潮流とは
・巻頭企画2:改正建築物省エネ法で住宅はどう変わる?
-建築物省エネ法・建築基準法改正のポイント
・巻頭企画3:住宅企画のプロが知っておきたい税制改正の動向
-贈与税・相続税大改正
現時点で知っておくべき最新動向を、巻頭で集中的に学べるので、業界関係者にとっては、とても「使える」本なのではないかと思います。
これに続く内容も、住宅関連の情報を総合的に解説してくれるもので、参考書として役に立つ情報満載でした。
このサイトでは住宅の本もすでに数冊紹介しているので、知っている情報も多かったのですが、住宅企画の最新動向や、リフォームでは、へえー、というものがいくつかあったので、以下に少し紹介します。
●「住宅企画の最新動向」から、一部を抜粋紹介。
・安心R住宅
「安心R住宅とは、耐震性があり、建物状況調査等のインスペクションが行われた住宅で、リフォーム等について情報提供が行われる既存住宅を言う。具体的には、1)耐震性等の基本的な品質を備えている、2)リフォームを実施済み、またはリフォーム提案がついている、3)点検記録等の保管状況について情報提供が行われる、という条件を満たすものである。」
・サービス付き高齢者向け住宅
「サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅のことで、日常生活や介護に不安のある高齢者世帯が、住み慣れた環境で安心して暮らすことができるよう、24時間地域巡回型訪問サービスなどの介護保険サービスが組み込まれた住宅である。」
・DIY型賃貸借
「・工事費用の負担者が誰かに関わらず、借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件
・借主自ら行うDIYに加え、専門業者に発注する工事も含む」
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●住宅の修繕時期を知る
「(前略)戸建て住宅の場合、水栓器具のパッキングが3~5年で取替え、土台・床組の防腐・防蟻再処理については5~10年が目安となっている。また、給湯器は10年位、水栓器具、浴室は10~15年、キッチンシンク・トイレ、排水管、ガス管、換気設備、電気設備などは15~20年、雨戸や玄関建具、窓などは15~30年位が取替え検討の目安となる。
また、屋根は10~30年、外壁は15~20年が目安となっているが、たとえば瓦葺き屋根の場合には20~30年位で全面葺替えを検討するのに対し、金属板葺き屋根の場合には10~15年位で検討が必要となる等、工法や仕様、所在地の気候等によって、補修時期や点検項目に違いがあるので、それぞれの条件を勘案したうえで適切に検討すべきである。」
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この他にも、「中古住宅流通活性化のため、中古住宅の瑕疵担保責任や既存住宅売買瑕疵保険がある。」とか、「住宅履歴情報とは、住宅の設計、施工、維持管理、権利及び資産等に関する情報をいう。すなわち、いつ、だれが、どのように新築、点検、修繕、改修・リフォーム等をおこなったかを記録した住まいの履歴書のことである。」など、いろいろな情報が満載でした。
住宅業界で働いている方はもちろん、住宅の新築・改築・売買を考えている方にも、とても参考になる本(参考書)です。ぜひ読んでみてください☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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