『いのちの惑星、地球。Fly with Me 不思議で美しい鳥の世界 (ナショナルジオグラフィック)』2023/3/17
ジェーン・ヨーレン (著), ハイジ・ステンペル (著), & 3 その他

 魅力的な鳥たちをたっぷり収録した、ナショナルジオグラフィックの動物写真図鑑「いのちの惑星、地球。」シリーズの第3弾で、内容は次の通りです。
INTRODUCTION
CHAPTER1 鳥とは?
CHAPTER2 鳥の古代史
CHAPTER3 歴史にみる鳥
CHAPTER4 アメリカ合衆国の州の鳥
CHAPTER5 鳥の声を聴く
CHAPTER6 鳥を見る
CHAPTER7 鳥たちの移動
CHAPTER8 地球の鳥を救おう
CHAPTER9 鳥の世界記録
CHAPTER10 芸術における鳥たち
CHAPTER11 物語にみられる鳥たち
CHAPTER12 市民科学
CHAPTER13 庭に来る鳥たち
著者あとがき
謝辞
さらに知りたい方へ
CREDITS
鳥類の学名リスト
INDEX
PHOTO CREDITS
奥付

 鳥の体の構造から行動まで、美しい写真とともに解説してくれるだけでなく、鳥を題材にした詩や物語なども収録されていて、読み物としても楽しめます。
 鳥について、とても勉強になりましたが、ちょっと驚かされたこともあったので、そのいくつかを紹介します。
 まず「CHAPTER3 歴史にみる鳥」から、長い歴史を持つ鷹狩の慣習が、現在でも活かされているということについて……
「この慣習をより現代的に変化させたものが、フランスで行われています。2016年と2017年にフランス軍は、飛行禁止区域内でドローンを撃退するよう、4羽のイヌワシの訓練を始めました。なぜイヌワシが選ばれたのでしょうか? すべてのワシと同様に、イヌワシは優れた視覚を持っています。彼らは1.6km先から獲物を見つけることができるのです。(中略)このような強さと速さにより、訓練された4羽のイヌワシはドローンを簡単に捕まえることができるのです。」
 ……ドローンを「鷹狩」するんですか! なるほど……飛行禁止区域にドローンが侵入したとき、いったいどうやって排除するんだろう? ライフルで撃ち落とすの? 他のドローンで攻撃するの? と疑問に思っていたのですが……「鷹狩」っていう手段もあったんですね!
 また本書の中で一番驚かされたのが、「CHAPTER7 鳥たちの移動」の「鳥はどのように自分が向かっている先を把握するのか」に関する記事。次のように書いてありました。
「(前略)科学者たちは、ハトなどの鳥の脳内には、マグネタイト(磁鉄鉱)という磁気を帯びた鉱物でできた小さい領域があることを発見しました。この磁鉄鉱がコンパスのように機能し、鳥を正しい方向へ導くのです。
 科学者たちは、鳥が量子もつれ(量子エンタングルメント)と呼ばれるプロセスを通して、地球の磁場による地図を把握していると考えています。鳥の眼の中にある分子が、地球の磁場を見つけ、移動する方向を知覚するのに役立っていると考えています。」
 ……えええ! 鳥の渡りに、なんと量子もつれが関係しているとは! 驚きです。
 この他にも、「実は鳥の骨格は、似たような大きさの哺乳類の骨格と同程度の重さです。」とか、「最近の研究では、ほとんどの鳥が紫外線(太陽が発する光の一種)も見えていることがわかってきました。」とか、興味深い記事が満載☆
 ナショナルジオグラフィックの超美麗な動物(鳥)写真に癒されるだけでなく、鳥のことを幅広く学べる本でした。生物好きの方は、ぜひ読んで(眺めて)みてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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