『誰でも驚くほど簡単に上達 プラモはじめます!』2021/7/30
香坂 きの (著)

 時短テク、100均アイテム活用など、誰でもすぐ作れるようになるプラモデルの作り方を、人気のプラモYouTuber香坂きのさんが教えてくれるプラモの超入門本で、内容は次の通りです。
第1章 プラモ作りの基本
第2章 簡単&キレイに色を塗る
第3章 超絶リアルになる汚し方
第4章 香坂きの厳選!必携100均アイテム
第5章 SNSに投稿したくなる撮影テクニック
・かつての長谷川指導員×香坂きの スペシャル対談 他
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 プラモデルの本というと、超絶技巧で「うわ、これがプラモデル?」と驚くような作品の作り方を教えてくれる本が多くて、美的にうっとり癒されていましたが、普段作りなれていない人には時間がかかりそうな作品ばかりで、工作好きの私でも、とりあえず眺めるだけになっていました(苦笑)。
 ところがこの本は、まさに普通の人でも、ちょっと頑張ればできる程度のプラモデルの作り方を教えてくれます。出来上がりの作品写真を見ても……正直言って……ごく普通の出来栄えで……あー、プラモデルって、本来はこういうものだよなー、と再確認させられました(ごめんなさい……いや、もちろん普通の人よりはずっと上手なキレイな出来栄えですが……超絶技巧のモデラーの方々の作品を見慣れてしまっていたので……)。
 ということで工作好きにはちょっと物足りないかもしれませんが、工作好きの人にとっても、「マーブル塗装(ランダムにマニキュアを混ぜることで、きれいなマーブル模様をプラモに転写できる)」などの珍しい技術を学ぶことが出来ますし、なにより「初心者に教えてあげる」ときに、とても参考になると思います。

 それに可愛い系美女の香坂きのさんが、とても楽しそうにプラモ作りをしているのを見るのも、工作やプラモデル好きにはとても嬉しいことです☆ (なんと「部屋で塗料を使うため、排気ダクトのある部屋を選んだ」というマニアっぷりです(笑))
 また本書で紹介しきれない技術を、YouTubeで動画で見るためのQRコードも掲載されています。
 さて、「第1章 プラモ作りの基本」には、必要な道具の紹介の他、次のような「基本の作り方」などの解説があります。
・基本の作り方
1)説明書をしっかり読む
2)組み立てるパーツを探す
3)パーツのゲートを切り離す
4)二度切りする
5)ゲート跡をやすりやデザインナイフで整える
6)デカール(シール)を貼る
7)説明書どおりに組み立てる
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 ここには、初心者にはとても参考になるコツが書いてありました。
 例えば「3)パーツのゲートを切り離す」時のコツは、「パーツを傷つけないように、パーツから少し離れた場所をニッパーで切っていくのがポイント。1回で切り取ろうとすると、ニッパーの刃がパーツを傷つけてしまうことも。」で、注意事項として「すべてのパーツをランナーから切り離すとパーツ番号が分からなくなってしまうことも。プラモ作りに慣れていないうちは、手順に合わせて使うパーツをひとつずつ切り離していくと分かりやすい。」と書いてありました。
 ……まさしく、その通り! そして、この両方とも初心者(もちろん私も)は、よくやりがちなのです(涙)。パーツは「二度切り」するのが面倒なので、「一回で切って」しまおうとしてしまいがちですし、一枚に入っている全部のパーツを一気に切り落としてしまってから、あれ、この部品って説明書のどの部品だったっけ?(この時点ではすでに切り離されているので、番号が分からなくなっている)なんていうことになりがち(涙)。
 それをフォローするためにも、ここで解説されている方法を守ることは大切ですし、この手順の最初に、「デジカメで撮影しておく」を追加するといいかもしれません。最初にプラモデルの箱を開けた時に、その箱の表面の写真(イラスト)と、各パーツを一枚ごとにデジカメで撮影しておくと、作品の記録にもなりますし、切り落としてしまった後で、どの部品だったかを確認し直すのに役立つと思います。
 そして個人的にとても参考になったのが、「第2章 簡単&キレイに色を塗る」。
例えば、作品をぐっとグレードアップしてくれる「ラップ塗装」は、次のような感じです(もちろん本書内では、フルカラー写真とともに解説されています)。
1)黒の塗料でパーツ全体を塗装する
2)ラップを数十センチほど切り取る
3)ラップをくしゃくしゃに丸める
4)丸めたラップにシルバーの缶スプレーを少量噴き付ける
5)塗料のついた部分でパーツを軽く叩く
6)丸めたラップの違う部分を使ってみる
7)パーツにクリアブルーのスプレーを噴きかける
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 この他、「引き伸ばしたパーツにウェットティッシュをかぶせてマスキングテープなどで固定してエアブラシで塗装する「大理石塗装」」も、とても使えそうな感じでした。
 さらに「第3章 超絶リアルになる汚し方」では、ザラッとした汚れを表現する「スポンジチッピング」では、「スポンジについた余分な塗料を家庭用キッチンペーパーに余分な塗料をこすりつけて落とす」などの実用的なテクニックや、「パステルを削ってプラモにのせると細かい粉で砂や土、ほこりの質感を表現できる」というテクニックを教えてもらえます。
 そして「第4章 香坂きの厳選!必携100均アイテム」でも、100均で手に入る「ミラーパウダー」を使ったパール塗装とか、100均アイテムを使ったジオラマ作りなど、お金をかけずに楽しめる方法が満載でした。
 さらに「第5章 SNSに投稿したくなる撮影テクニック」では、「ロボットプラモなどは足元から撮影すると立体感がUP」とか、「汚し塗装をした戦車プラモなどを地面や草の上など、屋外で撮影する」というコツや楽しみ方がありました。
 フルカラー写真で分かりやすく解説されている楽しいプラモ作りの入門本です。暇なときに気軽に楽しめるインドア趣味として工作を始めたい方や、お子さんと一緒に何か楽しいことをやってみたい、と思っている方は、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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