『カラー図説 生命の大進化40億年史 中生代編 恐竜の時代ーー誕生、繁栄、そして大量絶滅 (ブルーバックス)』2023/2/16
土屋 健 (著), 群馬県立自然史博物館 (監修)

 中生代は、約2億5200万年前から約6600万年前まで、約1億8600万年続いた時代。恐竜が誕生した三畳紀、恐竜が巨大化し種類を増やし、さらには空にも進出を始めたジュラ紀、さらに多様化し多くの羽毛恐竜が現れ、大繁栄の末、巨大隕石の衝突と共に絶滅した白亜紀……これら三つの時代を、恐竜をはじめとした様々なグループや、約110種の生き物の豊富な化石写真と美しいカラー復元画とともに解説してくれる本で、40億年にわたる生命の進化史を綴る全3巻企画の二冊目の中生代編です。(全3巻構成ですが、前巻の知識は必須というわけではなく、本書だけでも十分楽しく学べます。)内容は次の通りです。
第1章 爬虫類時代の始まり 三畳紀
第2章 恐竜時代がやってきた! ジュラ紀
第3章 繁栄は続く 白亜紀
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 前巻同様、今回もフルカラー写真やイラストが豊富で、眺めるだけでもわくわくしてしまいます。しかも今回は「恐竜の時代」! おなじみの巨大な恐竜の骨や復元イラストがどんどん出てくるので、見ごたえ抜群です☆
 三畳紀、ジュラ紀、白亜紀とも、章の初めにその時代の地球の状況が地図で描かれているので、それもとても参考になりました。
 例えば、三畳紀の地球はすべての大陸が地続きの「超大陸の時代」。大陸の内部は乾燥地帯だったとか、ジュラ紀になると、三畳紀末に分裂を開始した超大陸パンゲアが、分裂の勢いを顕著にして地球を一周できる海路も開いたとか、白亜紀の地球は、大陸配置そのものは、現在とかなり近くなってきた(海水準が高いため、各大陸のいろいろな場所が水没している)とかいう状況が、地図で描かれているのです。こういう大陸や海洋の状態が、その時代の気候に大きく関わっていたんでしょうね。
 さて、「第1章 爬虫類時代の始まり 三畳紀」では、次のように爬虫類や魚竜類、翼竜類が繁栄したようです。
「三畳紀は、中生代に隆盛を迎える爬虫類グループの“始祖”たちが出現した時代である。その中でも真っ先に台頭し、生態系の上位に君臨したのは、ルースキー島の上腕骨化石がその存在を示す「魚竜類」だった。」
「そして制空権は、ついに脊椎動物によって確保される。「翼竜類」の登場だ。彼らは多様化に成功し、世界各地への進出を果たし、中生代末まで“空の主役”であり続ける。」
「単弓類の大型種が姿を消し、単弓類の一グループとして出現した小型の哺乳形類が命をつないでいく。爬虫類の繁栄の陰で、単弓類はその歴史の転換点を迎えていた。」
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 そして「第2章 恐竜時代がやってきた! ジュラ紀」になると、たくさんの恐竜が出現してきます。例えば翼竜類については……
「(前略)翼竜類全体の傾向として、「小さな頭と長い尾をもつ翼竜たち」が“原始的な存在”で、「大きな頭と短い尾の翼竜たち」が“進化的”であるという点は変わっていない。」
「(前略)鳥類は獣脚類を構成するグループの一つであるとの見方が一般的だ。つまり、現在の視点からみれば、「鳥類は獣脚類の生き残り」といえる。そして今日では、獣脚類を中心に多くの恐竜が羽毛をもっていたことがわかっている。」
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 ……アンキオルニスの羽毛の化石に、色をつくる細胞小器官が残っていて解析され、全身はほぼ黒と灰色、頭部に赤褐色の斑点、赤褐色のトサカ、翼は白で黒い縁取りがあったと推定されているそうです。
 またアルカエオプテリクス(始祖鳥)は、脳の構造解析まで行われているとか!
「ジュラ紀は獣脚類の一グループとして鳥類が登場した時代だ。初期の鳥類を代表するのは、「アルカエオプテリクス(始祖鳥)」だ。」
「(前略)2004年に発表された研究では、マドリード・コンプルテンセ大学(スペイン)のパトリシオ・ドミンゲス・アロンソたちが、アルカエオプテリクスの脳函の解析を行っている。脳函とは、「函」という文字が示すように「脳の入れ物」となる骨のことだ。アルカエオプテリクスの脳そのものは発見されていないけれども、脳函は化石として残っている。そして脳函を調べることで、脳のおおよそのつくりを推測することができる。
 アロンソたちのこの研究では、アルカエオプテリクスが空間認識能力に長けていたことが指摘された。基本的に地表という“2次元世界”で生きる動物よりも、空という“3次元世界”で生きる動物のほうが空間認識能力は高い。アルカエオプテリクスの脳構造は、3次元空間向きだったのである。
 しかしアルカエオプテリクスの骨格を見ると、「羽ばたき」に必要な筋肉が付着する「竜骨突起」が発達していない。竜骨突起が未発達ならば、筋肉も未発達だったはずだ。つまり、アルカエオプテリクスは、少なくとも力強い羽ばたきはできなかった。
 一方、2018年には、ヨーロッパ・シンクロトロン放射光研究所(ESRF フランス)に所属するデニス・F・A・ヴォーデンたちが、始祖鳥の上腕骨が「羽ばたき」に耐えることができる強度を備えていたことを指摘している。
 ここに挙げた指摘がすべて正しいのであれば、アルカエオプテリクスは、脳と腕は飛行向きであったにもかかわらず、筋肉はさほど向いていなかったということになる。なんとも矛盾した鳥である。」
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 ……骨からはいろんなことが読み取れるんですね! 驚きです。そしてこういう矛盾があることは意外ではないような気がします。進化は長い時間をかけて「試行錯誤」的に進められてきたはずですから……。
 さらに「第3章 繁栄は続く 白亜紀」では、ヴェロキラプトルによるプロトケラトプス襲撃の瞬間を捉えた標本の「格闘恐竜の化石」とか、フクイヴェナトル、カムイサウルスなどの日本の恐竜、さらにあのT・レックスも登場してきます。
 これらを豊富な化石写真、カラフルな復元イラストで、分かりやすい解説とともに見ることが出来るのです☆
新書サイズの「自分だけの恐竜博物館」。恐竜好きには、お宝になるような素晴らしい本でした。みなさんも、ぜひ眺めて(読んで)みてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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