『ネット時代のやってはいけない病院・医師選び』2022/12/13
五十嵐淳哉 (著), 大城 堅一 (監修)

 医療業界に詳しいコンサルタントの五十嵐さんが、一般患者の視点で、「多様な分野・形態の病院からどう選ぶと得か」、「診療報酬改定のチェックポイント」、「本当の医師の評判の調べ方」など、ネットを活用した病院のかかり方を紹介してくれる本です。
 最近の入院の平均期間は15.7日、1回の平均費用は20.8万円だそうです。
 そして私たちが患者側としてやるべきことは、「準備」と「予備知識を持つ」こと。また、すべてを網羅して患者さんを完璧に診断できる医師はいないので、患者は「すべてを鵜呑みにしない」気持ちが重要なのだとか。
 私自身は健康診断以外で病院に行くことがほとんどないので、具合が悪くなって病院に行くことになったら、いったいどうやって病院を選んだらいいのかがまったく分からず、とりあえず本書を読んでみることに(苦笑)。(幸い今はまだ、特に具合が悪いわけではありませんが……)
「ネット時代の病院・医師選びの4ステップ」は、次の通りだそうです。(本書内では、もっと詳しい説明があります。)
1)病院を探す前に
 自分や家族の「基本情報」を記録しておく。
2)専門機関を探す
 最寄り駅、住所地+診断科目、症状(患部、痛み)をもとに近隣の専門医を探す。院長の経歴、通える場所かどうか、診療所の評判をGoogleマイビジネス、Caloo、病院ナビ、MyClinicなどで調査する、など。
3)病院にかかる前に
 自己問診票を作成する(いつから? どこが? どのような症状?)、症状検索(画像検索も)、記事の出どころ、出典、筆者名を確認し、検索結果をよく読む、など
4)病院にかかった後
 自分と合うかどうかの見直しも必要、インフォームドコンセントが実行されているかの確認、など。
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 ……とは言っても、こんなに丁寧に探せるかなーと心配になってしまいましたが、実は著者の五十嵐さんには、「専門医」をなかなか探せずに苦しんだ経験があったそうです。五十嵐さんは長年風邪に似た症状に悩まされていたのですが、病院に行っても適切な治療を受けられずにいて、最終的には、自分なりに「耳鼻咽喉科」を選んで受診して初めて、本当の原因が「咽頭部に菌がいた」ことだったと判明したとか。
 ……なるほど。ネットで似た症状をよく調べて、どの科を受診すべきかを、まず自分自身で考えることはとても大事なんだと痛感させられました。自分の症状と関連しそうな疾病(医学)の知識があれば、実際に受診したときに医師から言われる話もよく分かるようになるので、そういう意味でも無駄にならないし。
 また、本書で紹介されている、医療情報サービス大手のエムスリー株式会社のAskDoctorsという「ネット上で医師に質問できるサービス」も、参考になりそうな気がしました(似た検査結果で相談した人のデータもあるそうです)
 そしてネットではなく本ですが、『いい病院2022』(週刊朝日MOOK)には、医療機関の手術数ランキングがあるそうです。
 さらに次のような「オンライン診療」という選択肢もあるのだとか。
1)CLINICS
2)CURON
3)LINEドクター
4)Yadoc
5)FAST DOCTOR など
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 具合がとても悪いときや、高齢で身体を動かすのが大変なときには、この「オンライン診療」に救われるかもしれないなーと思いました。今後、どんどん増えていくことを期待したいと思います。
 病院や医師の選び方を教えてくれる本でした。平均寿命が延びて老後の期間が年々長くなっていく中、病院(医師)をどう選択するかは、とても大事になると思います。介護サービスや高齢者施設の調べ方に関する記事もあります。みなさんも、ぜひ一度、読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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